教育オピニオン
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2学期のはじめに取り組みたい!子どもの心と体の健康を目指した「体つくり運動」
常葉大学教育学部教授大矢 隆二
2019/9/17 掲載

今の子どもたちの体力不足


 子どもの体力の慢性的な低下傾向は、近年の社会環境や生活様式の変化などから各家庭での現状を捉えなければなりませんが、本来子どもたちは、学校での体育活動をもとにさまざまな運動に親しみ、体力が高まっていきます。
 小学校での身体運動は、朝運動や休み時間を利用した活動、体育授業や特別活動などがあげられますが、なかでも体育授業での運動は、質的・量的からしてもすべての子どもに共通機会を与える場として重要な意味をもつことになります。
 就学前や小学生の時期は、「巧みな動き」「素早い動き」「バランスのよい動き」などの能力が著しく発達する時期です。この時期にさまざま運動経験を積み重ねていくことは、後の運動スキルの獲得や運動能力の向上に影響すると考えられています。

「体つくり運動」で子どもの心と体の健康を目指す


 子どもに必要な体力として、「運動をするための体力」「健康に生活をするための体力」があげられます。運動をするための体力は、走ったり、跳んだり、投げたりするための体力です。これらの体力を養うと、いろいろな動きができるようになり、運動することが楽しくなってきます。
 一方、健康に生活をするための体力は、健康で病気にならないための体力です。これは、食事、睡眠、運動、休息など、毎日の生活習慣から培われていきます。運動を習慣化することで生活リズムが整い、体を大きく成長させたり、いろいろな体の動かし方ができるようになったりします。普段から運動をしている子どもは、大人になってからも病気にかかりにくくなるなど、心や体の健康にも良いことがあると考えられています。
 小学校の体つくり運動系では、心と体の関係に気付いたり、仲間と交流したりして、多様な動きの経験や体力向上が目指されています。友だちと関わり合いながら、運動することが「楽しい」「気持ちいい」と感じ、その積み重ねにより運動習慣の定着につながります。それゆえ、楽しい体つくり運動(遊び)の推進が望まれているのです。

2学期に行いたい体つくり運動3選


●1 ひっぱりだこ

図1

 「ひっぱりだこ」は、友だちと呼吸を合わせ、体のバランスをとりながら体を移動させる運動です。                            
 引っ張る人は、膝を曲げ、腰を落として引っ張ってみましょう。
 バリエーションとして、引っ張られる人が両手を広げたり、腕を動かしたりすることで難易度が高まり、よリバランス能力が養われていきます。

●2 キャタピラー

図2

 「キャタピラー」は、友だちの動きに合わせて、回る、移動する、止まる運動です。
 回転する人は寝転んだまま転がっていきます。両手両足立ちの人は、タイミングを合わせて進んで行きます。
 バリエーションとして、両手両足立ちの人は回転する人の方向転換に合わせて、前や後ろ向きに移動したりします。そうすることで、体全体をスムーズに調和させて動かす能力が養われます。

●3 ミラームーヴ

図3

 「ミラームーヴ」は、友だちの動きや姿勢を真似て同調していく運動です。
 リーダー役は、手や足をゆっくりと動かしていきます。もう一人は、その動きを鏡に映っているように真似ていきます。
 バリエーションとして、実際の動きをそのまま(鏡の動きと逆)真似たり、指の動きを加えたりすることで、より動きを見る力や動きを真似る力が養われます。

【出典】「ちょコット」
制作:TISウェル・企画:大矢 隆二(常葉大学)・運動提案:巣立 隆宏(TISウェル)・ 監修:内藤 久士(順天堂大学)

大矢 隆二おおや りゅうじ

常葉大学教育学部教授。静岡県および静岡市教育委員会の体力向上推進委員。研究テーマは、体育授業における運動の動機づけ、動作の解明、上達の法則などについて、量的・質的分析を用いて究明し、その方法論を構築すること。著書に、『たのしい体育 第1学年〜第6学年』共著、(大日本図書)などがある。

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