教育オピニオン
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教師自らが学ぶ姿勢を子どもに示す
福岡県遠賀郡水巻町立猪熊小学校教諭石原 卓
2015/3/30 掲載
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  • 教師力・仕事術

 子どもに意欲的な学習をさせたいなら、まず教師自らが学ぶ姿勢を示すことが大切である。子どもは好奇心旺盛である。様々な刺激を与え続けることで子ども自らが学ぶ姿へとつなげることができる。

1 教材研究のアンテナを多く立てる

 教材研究の仕方には様々な方法があり、教科によってもその方法は変わってくる。私は、次のようにして教材研究を行っている。

(1) 教科書を使った教材研究

 6年算数で「割合を使って」という単元で研究授業を行うことになった。そこでまず、教科書の教材研究から始めた。他の教科書会社の教科書をすべて調べてみると、「割合を使って」はこの教科書だけにある単元であることがわかった。
 次に、現行の教科書だけでなく20年前の教科書や来年度から使用する新しい教科書も調べてみた。すると、問題文や問題に出てくる数がすべての年の教科書で同じであった。過去の教科書をとっておくと教科書内容の比較検討もできる。
 また、この単元が何をねらいとして構成されているのかを考えてみた。疑問に思った点については教科書会社にも問い合わせ、説明をしていただくこともできた。
 このように、教科書を深く研究することは、子どもに指導すべきことや学習指導要領との関連も明確になり、授業の組み立て方もおのずと明確になってくる。
 さらに、教科書の内容にプラスし、社会の中で算数がどのように役立っているのかを授業すると、子どもの関心意欲を高めることができる。
 例えば、「線対称」は国会議事堂などの建造物や家紋などに、「比例」はJR等の電車のダイヤをつくるのに活かされている。「拡大・縮小」は地図帳や測量に活かされており、社会科との学習にもつながる内容である。

(2) 広い視野からの教材研究

 マララ・ユスフザイさんがノーベル平和賞を受賞した。次の日の朝、6年生の子どもたちがマララさんの話をしていた。子どもたちが興味をもっていたのは、修学旅行で長崎の平和公園に行くため、事前に平和についての授業をしていたからだ。子どもの視野を広げるためには、世界に目を向けた学習が必要である。
 また、青色発光ダイオードを開発した赤崎勇氏、天野浩氏、中村修二氏がノーベル物理学賞を受賞した。6年生の理科の学習にもLEDが出てくる。豆電球と比べ長時間光り続けることができ、省エネにつながることを子どもたちは学ぶ。
 しかし、LEDのすごさは省エネだけではない。LEDを光源として野菜を栽培することが可能になったという。赤色LEDでレタスを栽培するとビタミン類を多く含むレタスが育ち、青色LEDで栽培するとポリフェノールなどの抗酸化物質が多く含まれ、健康によい効果のあるレタスが育つという(*1)。
 このように、LEDは省エネだけでなく野菜づくりにまで影響を与えているということを学習することで、子どもたちは日本の技術の素晴らしさに驚かされることだろう。
 そのためにも、教師はあらゆるところにアンテナをはりめぐらせ、広い視野からの教材研究をすることが必要である。

2 仲間のネットワークを大切にする

 教材研究を行ってもそれをどのように授業に活かすのか。授業という形にしてはじめて子どもに力をつけることができる。

・提示する写真などの資料は適切か。
・発問は十分に吟味されているか。
・子どもにはどのような作業をさせるか。作業をさせた後はどうするか。
・授業で、どんな内容を子どもに理解させたいか明確になっているか。

 このようにして、様々なことを考えながら授業をつくっていく。
 最後にサークルで模擬授業をやってみる。発問の意図が伝わらずに、受ける側は「どのように答えていいのかわからない」などの意見をいただき、様々な視点から授業が検討されていく。そして、適切なアドバイスをいただくことにより、授業をよりよいものにしていくことができる。
 また、多くのセミナーにも参加している。自分が学び続けなければ、子どもに学ぶことの大切さを伝えることはできないと思うし、教師が常に学び続ける姿勢を示すことは、子どもの学ぶ姿勢に大きな影響を与えると信じている。これからも学び続ける教師でありたい。

石原 卓いしはら たかし

福岡県遠賀郡水巻町立猪熊小学校教諭

1964年生まれ。福岡教育大学卒業後、遠賀町立広渡小学校を経て、現在、水巻町立猪熊小学校勤務。サークルあどりぶ、福岡県向山型算数研究会所属。

【主な共著書】『教科書どおり教える!算数の授業開き』(2008)、『算数の学力が伸びる学習習慣』(2008)(いずれも、明治図書)

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