教育オピニオン
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新しい校内研修会を目指して
兵庫県明石市立二見西小学校溝端 達也
2014/10/15 掲載

1 校内サークルを立ち上げる

 私の勤務校では校内サークルを立ち上げ、活動を始めている。「算数研修部会」という名称であるが、内容は向山型算数が中心で、次のようなことを扱っている。

●百玉そろばんのユースウエア
●TOSSかけ算九九尺のユースウエア
●3年分数単元の導入
●授業QA

 実際に教師用百玉そろばんに触ってもらい、私がまずやってみせる。そして、参加者にも実演してもらい、まず、よいところをほめながら進めていく。
 「先生の声がいいですね。よく届いています」
 「玉の弾き方が上手です。初めての方でなかなかここまではできません」
 修正すべき点はその場で手直しをしていく。
 「カチって音が出たら、声を出させるようにしたほうが声はそろいます」
 子役の先生方には、子ども用百玉そろばんを配って触ってもらう。その場でまずい点を指摘して、何度かやってもらい、できるようになってから終わるようにしている。校内サークルに参加して、何か1つでも授業スキルを身につけて帰ってほしいと願っているからである。
 研修後、新任の先生から次のような感想をいただいた。「いつも行っている初任者研修会の50倍勉強になりました。来月も、ぜひやってください」。
 また、授業QAで、子どもに問題をやらせたときにできる時間差をどうしたらよいか、という質問が出た。私はいくつかの方法を紹介した。
 すると、次の日に、参加した先生に「昨日、溝端先生に教えていただいたイラストをかかせるという時間調整の方法を6年生で試してみました。どの子も集中して取り組んでいました」と感謝された。

2 校内サークルを職員会議で提案する3つのポイント

 職員会議で校内サークル活動を提案するためのポイントは、次の3点だと思っている。

1.校内サークルの活動内容に学校運営方針を入れること。
2.職員会議で提案する前に、提案内容を校長先生に見ていただくこと。
3.校内サークル後に、必ず管理職に活動内容を報告すること。

 第一に、校内サークルの活動内容に学校運営方針を入れることが重要である。本年度の本校の学校運営方針には次のような記述がある。
 「授業研究を核にした研修を積み、確かな学力の定着を図るための指導力を養う」
 これは、校長先生が私たち職員に対して提案したものなので、私たちはこの学校経営方針に従って職員会議で様々な提案をしていかなければならない。したがって、それに沿った内容を提案することが重要になる。次のような内容を提案した(一部)。

1 目的
 初任者を対象として、授業研究を核にした研修を行い、確かな学力の定着を図るための指導力を養う。【「平成26年度学校経営方針」より】
2 対象
 (1)新卒教諭、臨時講師の先生方
 (2)5年目未満の先生
 (3)6年目以上の方でも希望される方 
3 フレッシュ研修部会日程
  第1回 5/22(木)16:00-16:30(3年1組)
  第2回 6/20(金)16:00-16:30(3年1組)
  第3回 9/4(木) 16:00-16:30(3年1組)
  第4回 10/9(木)16:00-16:30(3年1組)
  第5回 11/7(金)16:00-16:30(3年1組)
  第6回 1/13(木)16:00-16:30(3年1組)
  第7回 2/5(木) 16:00-16:30(3年1組)
*校内行事により変更有 職員室前の黒板でお伝えします。

 第二に、提案内容を事前に校長先生に目を通していただくことである。校長先生は喜んで見てくださるし、指導もしてくださる。また、職員会議でも応援していただける。これを飛ばして進めると、後で揉めたときにややこしいことになる。
 第三に、校内サークル終了後は必ず管理職に活動内容を報告することである。参加した先生方からの感想を校長、教頭先生に伝えるようにしている。また、職員室で研修会の内容を話題にすることで、校内サークルの様子を職員全体にも伝えるように心がけている。これは、校内サークルを広げることにもつながる。

3 校内サークルは教室で開催

 校内サークルを実施するのであれば、教室を使うのがよいだろう。なぜ、教室がよいのかというと、教室に置いてあるいろいろな教材を実際に紹介しながら使えるからである。算数教材だけではない。毎日の授業で使っている五色百人一首、名句百選カルタ、ソーシャルカルタといったカルタ群や1分間フラッシュカード、お手本くんなども紹介できる。
 どの教材も紹介すればためしに使ってくださる。本校には、五色百人一首カルタが購入されており、1クラスに1セットある。若い先生方に使い方を教えていけばどんどん広がっていく。
 まだ手探り状態で研修会を始めたばかりであるが、これからも確かな学力の定着を図るための指導力を養うための研修会を企画していきたい。

溝端 達也みぞはた たつや

兵庫県明石市立二見西小学校教諭

1967年生まれ。兵庫県明石市立二見西小学校勤務。TOSS関西中央事務局、TOSS春風代表(明石市)。

【主な編著書】『『向山型国語授業の指導スキル&パーツ活用事典5 音読・暗唱の効果的な指導スキル&パーツ活用事典』(2014)、『小学1年 学級で起こる“こんな困った→どう対応”プロの知恵事典』(2014)、『若いあなたがカスタマイズ出来る!6 向山型スキル・体育の授業パーツ100選』(2012)(以上、明治図書)

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