大野桂の算数熱中授業づくり
わかった! 楽しい! そんな子どもの声が教室に響く算数の授業をつくりたい。 発問、板書から子どもの意見の取り上げ方まで、学級全員を熱中させる工夫やアイデアを大公開!!
大野桂の算数熱中授業づくり(6)
「半分」ってどういうこと?(2年「分数」)
子どもの認識にゆさぶりをかける【話し合い】
筑波大学附属小学校教諭大野 桂
2013/11/25 掲載

熱中授業づくりのポイント

  1. 共通性を追究する活動を仕組む
  2. 子どもの認識にゆさぶりをかけ、新たな概念を形成する

1 共通性を追究する活動を仕組む

 この授業では、人間にとって素朴で自然な行為ともいえる「共通性を追究する」活動を通して、分数という新たな概念を形成していきます。
 まず、いろいろな形のケーキを2人で平等に分けるという場面を通して、子どもの「半分」についての認識を明らかにします。
図

いろいろな形のケーキを2人で分けましょう。このように分けようと思うんだけど…
(図のように半分ずつに分けられていないものを提示)

それじゃあケンカになる!
平等じゃない!
「平等じゃない」とはどういうこと?
ちゃんと半分になっていないということ
なるほど。じゃあ、これはどうかな?
図
半分のものと、半分じゃないものがある。
じゃあ、分けてみてくれるかな?
図
どうして左の4つは半分なの?
折って(切って)ぴったり重なるから。

 この時点で、子どもたちにとっての「半分」は、「同じ大きさで2つに分けられている」と同時に、「同じ形である(折ってぴったり重なる)」という認識です。このことが次に、「半分の半分」、つまり1/4に分けられているものを検討する中で議論の的になります。

2 子どもの認識にゆさぶりをかけ、新たな概念を形成する

 まず、各辺の中点と、対角線で1/4に分けられている2つの正方形を提示し、「半分の半分」の共通理解を図ります。

これは、4人に平等に分けられているかな?
図
折ってぴったり重なるから、分けられてる。
「半分の半分」だ。

 そこで今度は、長四角のケーキを4人に分ける場合について考えさせることで、子どもの認識にゆさぶりをかけます。先に対角線で1/4に分けられた正方形を見ていることから、自ら長方形を1/4にするこの場面では、必ず対角線で折る子どもがいます。長方形を対角線で折ると、形が違うのに大きさが同じ三角形が出現します。

長四角のケーキを半分の半分に分けてみよう。
(操作した結果の発表)
図
えっ、一番右のは平等じゃないんじゃない? ぴったり重ならないよ。
でも、重ならなくても大きさが同じだったら平等じゃん。
そう、形が違っても、大きさが同じなら平等って言えるよ。
じゃあ、確かめてみようか。
図
切った一つひとつを半分に折るとぴったり重なるよ!
それが2つ分だから、やっぱり大きさは同じだ!
形が違っても、大きさが同じなら平等だね。

 「半分(の半分)」など、子どもが生活の中でよく使うにもかかわらず、認識が曖昧で、子どもによって使い方が異なる言葉は少なくありません。そのことを生かして、言葉の意味を学級全体で議論することで曖昧だった認識を明確にしていき、分数の概念の素地をつくりました。

大野 桂おおの けい

1976年東京都生まれ。東京学芸大学卒業。私立高等学校、東京都公立中学校、東京学芸大学附属世田谷小学校を経て、2010年より筑波大学附属小学校教諭。
日本数学教育学会編集部幹事、教育出版教科書『小学算数』編集委員、全国算数授業研究会常任理事、使える授業ベーシック研究会常任理事、『算数授業研究』編集委員。
筑波大学附属小学校算数部ブログ

(構成:矢口)
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