野中流!新卒教師時代を生き抜く学級経営&授業術
初任者指導のエキスパート、野中信行先生が、新卒や若手教師のつまずきやすい事例や悩みを徹底解決!
野中流!学級経営&授業術(10)
宿題忘れや準備物の忘れが目立つ
元横浜市初任者指導教員野中 信行
2013/1/18 掲載
  • 野中流!学級経営&授業術
  • 学級経営

つまずき場面

 宿題忘れや準備物の忘れが目立ちます。少なくする指導方法はないでしょうか?

1 考えられるつまずきの原因

 宿題忘れや準備物の忘れを完全になくすことはできない。人間は忘れ物をする存在だから、完全になくすような試みは無理が伴う。そんな無理をすることはない。
 ただ、忘れが目立つ時にはきちんとした手立てが取られていないことが多い。
 忘れ物をしない子供たちは、次のような手順で宿題や準備物の忘れをなくしている。

  1.  連絡帳にきちんと明日の予定と準備物、宿題を記入する。
  2.  帰ってから連絡帳を見ながら、準備物を準備する。
  3.  宿題は決まった時間帯にやり終える。

 1、2、3の習慣ができている子供はほとんど忘れない。(「忘れ物を防ぐ1、2、3の習慣」
 この習慣ができていない子供たちが忘れる。この習慣は家庭が責任を持つものだが、学校も関与しなければ忘れを少なくすることはできない。

2 対応法

その1 「忘れ物を防ぐ1、2、3の習慣」を身につけさせる

@連絡帳のチェック

 連絡帳がきちんと書かれていなければ準備するものが分からない。まず、これをきちんと書く習慣を身につけさせること。学期始めの1か月は、連絡帳のチェックをすることである。私は、さよならの挨拶をしてから連絡帳を私のところへ提出し、合格をもらったら帰っていいという約束をして「連絡帳チェック」をした。

A準備物の準備

 この準備をいつ行うかを確認した。帰ってすぐなのか、夕食の前なのか、…いつも決まった時間帯に行うことが望ましいことを指導する。特に、忘れ物をよくする子供にはきちんと何度も確認する。

B宿題を済ます

 これも決まった時間帯に行うように指導する。父母懇談会などでもお願い事項として伝達する。宿題は、学年×10分ぐらいの量を出すように心がける。

その2 忘れた場合のチェックシステムを整える

 それでも子供たちは忘れる。上記の習慣が家庭でなかなか身につけられないからである。また、宿題はしようという気持ちがなければやってくることはできない。
 だが、これを曖昧にしてはダメだ。
 そのために次のような手立てを打つ。

@忘れ物の明示をする

 提出物の忘れはそのままにしておくことはできない。黒板の端に、忘れ物を書き、指名カードを貼る。(持ってきたら、自分で指名カードを取る)

A宿題忘れのチェック

 宿題は提出したら、名簿に〇をつける。忘れたら、@のように指名カードを置く。
 宿題は休み時間などに済ませ、担任に提出する。必ず、その日のうちに済ませることを全体で確認しておく。

3 今回のポイント

 「忘れ物を防ぐ1、2、3の習慣」をどのように身につけさせるかどうかが大きなポイントになる。

野中 信行のなか のぶゆき

1947年 佐賀県生まれ。
1971年 佐賀大学教育学部卒業。
37年間横浜市立小学校教諭として過ごし、その後3年間初任者指導の仕事をする。
主な著書に『新卒教師時代を生き抜く心得術60』『新卒教師時代を生き抜く学級づくり3原則』(単著)『新卒教師時代を生き抜く“2W”仕事術』(編)などがある。

(構成:木山)
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