野中流!新卒教師時代を生き抜く学級経営&授業術
初任者指導のエキスパート、野中信行先生が、新卒や若手教師のつまずきやすい事例や悩みを徹底解決!
野中流!学級経営&授業術(9)
保護者からのクレームが多く寄せられ、困っている
元横浜市初任者指導教員野中 信行
2012/12/20 掲載
  • 野中流!学級経営&授業術
  • 学級経営

つまずき場面

 保護者からのクレームが多く寄せられ、困っています。保護者対応の仕方を教えてください。

1 考えられるつまずきの原因

 12月のこの時期にクレームが多数寄せられるということは、クラスがうまくいっていない状況であると予想できます。クラスがうまくいっていない場合は、日常的に子供たち同士でのもめごとが頻発します。毎日のようにそのもめごとの収拾に当たり、もめごとを起こされている側からのクレームが多数寄せられます。今、その状況にあるということでしょう。「学級づくり」の失敗がつまずきの原因になっていると考えられます。

2 対応法

その1 保護者対応の第一は、安定した学級を作ること

 保護者対応の第一の鉄則は、落ち着き、安定した学級を作ることなのです。
 こうなることが担任教師への信頼を増し、クレームをなくしていく第一のことなのです。
 私は「学級づくり」がその課題を解決する役割だと提唱しています。
 あなたの学級の状態がどうなっているか、どの程度にまとまり、どの程度に崩れていっているのか分かりません。だから、的確に方向を指摘することはできません。
 しかしながら、きっと学級に「スピード」がなくなっていることは確かだと思われます。学級の「時間」が不安定になっているのです。まず、その「時間」を取り戻してください。

 学校の日課表に基づいて、時間通りに進めていくこと。
 授業時間を守り、子供たちの休み時間もきちんと確保すること。
 子供たちだけでなく、先生もきちんと守ること。
 朝の会、終わりの会はできるだけ短く終わること。
 給食の時間、清掃の時間も決められた時間をきちんと守ること。

 学級がスムーズに進んでいく「時間」を取り戻していくのです。それが学級を安定させることにつながります。

その2 クレーム対応のあとの連絡が大切

 クレームを出された保護者には、できるだけ丁寧な対応をする以外にありません。
 その場合、気をつけることは、電話対応だけで済ませないことです。ついつい面倒だから電話で済まそうとしてしまいがちですが、とても危険です。学校に来てもらうか、家庭訪問をするかを考えてください。やはり、面と向かって話すことが第一なのです。
 また、クレームについては必ず学年主任の先生と管理職には伝えてください。どうするかも相談します。一人で対応しようと思わないことです。
 そして、最も大事なことはクレームのときだけで終わらないで、その後良くなったことなどをきちんと電話連絡をするように心がけます。そのことがとても大切です。保護者は我が子への心配、不安でクレームをつけてくるのですから、そのことへの安心材料を連絡してあげることが何よりの保護者対応になるのです。

3 今回のポイント

 保護者対応の第一は、安定した学級づくりをすることに尽きます。
 そして、クレームはつきものですから丁寧な対応と、クレーム後の対応を意識しておくことです。

野中 信行のなか のぶゆき

1947年 佐賀県生まれ。
1971年 佐賀大学教育学部卒業。
37年間横浜市立小学校教諭として過ごし、その後3年間初任者指導の仕事をする。
主な著書に『新卒教師時代を生き抜く心得術60』『新卒教師時代を生き抜く学級づくり3原則』(単著)『新卒教師時代を生き抜く“2W”仕事術』(編)などがある。

(構成:木山)
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