野中流!新卒教師時代を生き抜く学級経営&授業術
初任者指導のエキスパート、野中信行先生が、新卒や若手教師のつまずきやすい事例や悩みを徹底解決!
野中流!学級経営&授業術(6)
高学年女子との関係づくりがうまくできず、クラスの雰囲気も悪い
元横浜市初任者指導教員野中 信行
2012/9/20 掲載
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  • 学級経営

つまずき場面

 高学年を担任していますが、女子との関係がうまくいかず、クラスの雰囲気も悪いです。うまい関係づくりの方法はないものでしょうか?

1 考えられるつまずきの原因

 小学校高学年教師の最大の課題は、女子のグループ化による問題になります。女子たちがグループ化し、互いにいがみ合ったり、孤立化する子が出たりするのです。とくに男性の先生はこの課題を苦手にしています。そのために、腰がひけてしまい、ついつい問題だと感じても放置してしまいます。その結果、問題が深刻化してしまうのです。そこでクラスの雰囲気が悪くなります。

2 対応法

その1 日頃から女子グループの動向に注目しておく

 日頃から女子グループには注目して、グループの把握をしておく必要があります。誰と誰がくっついていて、誰が離れたか、孤立している子がいないかなどをきちんと把握するのです。今までグループの中にいて一人離れた子には、すぐさま「どうしたの? 心配しているよ」と話を聞くことです。また、もめごとがあったときも、すぐさま話を聞くことです。こういうフットワークを身につけておくことが、高学年教師としては、必然的な課題になります。いつも日常的にとりとめもない話ができる関係を作っておくことがとても大切になります。

その2 「包み込み法」で話をする

 話をするときの心得があります。子供たちは問題を起こした場合、必ず自分なりの理由を持っています。周りが見たら、どんなに理不尽な理由に見えても、「自分なりの正当性」を持っています。
 だから、頭ごなしに叱りつけたりしたら完全に心を閉ざしてしまいます。「自分なりの正当性」を否定したり、批判したりしないで、「あなたはそれで腹を立てたんだ。知らなかった。先生はあなたの気持ちがよく分かるよ」と積極的に同意、同調してあげることです。そして、最後に「このままではまずいね。『ここは謝ろう』『ここは相手に譲ろう』ということはないかな? これからずっとクラスで一緒に過ごすのだから、ここはきちんとしておいた方がいいよ」と迫っていくのです。
 次に、もう一方の子供にも、同じように話をします。そして、最後に双方を呼んで、話を詰めればいいのです。
 こういう繰り返しをしながら、問題解決を図っていきます。うまい解決にはなかなか到達しない場合もありますが、この繰り返しが担任への信頼を増していきます。このような方法を私は「包み込み法」と名付けています。
 

3 今回のポイント

 高学年の女子たちには、遠慮しないでどんどん話しかけていく積極性がほしいと思います。もめごとの対処には、「包み込み法」で迫っていきたいです。

野中 信行のなか のぶゆき

1947年 佐賀県生まれ。
1971年 佐賀大学教育学部卒業。
37年間横浜市立小学校教諭として過ごし、その後3年間初任者指導の仕事をする。
主な著書に『新卒教師時代を生き抜く心得術60』『新卒教師時代を生き抜く学級づくり3原則』(単著)『新卒教師時代を生き抜く“2W”仕事術』(編)などがある。

(構成:木山)
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