野中流!新卒教師時代を生き抜く学級経営&授業術
初任者指導のエキスパート、野中信行先生が、新卒や若手教師のつまずきやすい事例や悩みを徹底解決!
野中流!学級経営&授業術(3)
特別支援が必要な子どもへの対応がうまくできない
元横浜市初任者指導教員野中 信行
2012/6/14 掲載
  • 野中流!学級経営&授業術
  • 学級経営

つまずき場面

特別支援が必要な子どもへの対応がうまくできません。
どんな手立てがあるのでしょうか。

1 考えられるつまずきの原因

 さまざまな特別支援が必要な子供たちがいます。たとえば、発達障害の子供たちが教室には必ず何人かいます。そして多くの場合、発達障害だと気づいていないことが多いのです。その子たちは、教室でさまざまなトラブルを引き起こします。担任も発達障害についてきちんと理解しないままに対応してしまうためにトラブルがおさまらないのです。その子供たちは、担任の指示に対してすぐに「〇〇はどうするのですか?」と聞いてきます。指示がいくつも入らないので、すぐにオウム返しのように同じことを聞き返すのです。「今、言ったでしょう!」と叱っていけば二次障害へ進んでしまいます。
 発達障害については、これからさまざまに勉強をしなくてはいけないのですが、まず次のようなことを心がけて対応する必要があります。

2 対応法

その1 聞き返してきたことに丁寧に対応

 オウム返しに何度も反応してくる子供には、丁寧にもう一度同じことを繰り返してあげることです。
 学習障害児を担任したときに成功したのは、指示したときにはその子の机まで行って丁寧に教えてあげたことでした。面倒でも何度も繰り返してあげることが大切です。その子供たちは、先生の指示が分かればとても落ち着くのです。 

その2 「一時に一事の指示」を心がける

 たとえば、教師はよく次のような指示を出します。

「教科書の23ページの3番をノートにやります」

 この中には、3つの指示が同時に出されています。

  1. 「教科書を出しなさい」
  2. 「23ページを開けなさい」
  3. 「3番をノートにやりなさい」

 発達障害の子供たちは、このような指示に対応できません。「先生、どこやるんですか?」と聞き返します。
 だから慣れてくるまで、丁寧に「一時に一事の指示」を心がける必要があります。
 「教科書を出しなさい」と指示をしたら、全員が教科書を出しているか確認し、発達障害の子供には「〇〇さん、教科書を出しなさい」ともう一度言ってあげればいいのです。そして、同じように「23ページを開けなさい」「3番をノートにやりなさい」と指示を出していけばいいのです。

3 今回のポイント

 特別支援の子供たちには、まず「指示の出し方」と「対応の仕方」に配慮が必要です。

野中 信行のなか のぶゆき

1947年 佐賀県生まれ。
1971年 佐賀大学教育学部卒業。
37年間横浜市立小学校教諭として過ごし、その後3年間初任者指導の仕事をする。
主な著書に『新卒教師時代を生き抜く心得術60』『新卒教師時代を生き抜く学級づくり3原則』(単著)『新卒教師時代を生き抜く“2W”仕事術』(編)などがある。

(構成:木山)
コメントの受付は終了しました。