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2022年度からスタート!? 小学校教科担任制
教育zine編集部木本
2020/1/31 掲載

 2019年12月、中央教育審議会(初等中等教育分科会)から、「新しい時代の初等中等教育の在り方 論点取りまとめ」が公表されました。ICT教育の環境整備(ハード、ソフト、人材)やデジタル教科書・教材、ビッグデータの活用、STEAM教育などの教科横断的な学び、特別支援教育など、様々なテーマが取り上げられています。今回は、この中で取り上げられている「義務教育9年間を見通した教科担任制の在り方」に焦点を当てたいと思います。

教科担任制導入の背景
 教科担任制は、以前から導入についてたびたび議論がなされてきた内容で、2019年4月に柴山文部科学大臣からの諮問があった際にも話題になりました。今回、2022年度を目途に導入すべきと改めて示されことで、今後、具体的な検討がさらに進んでいくことになります。現段階では、対象は小学校高学年で、優先して実施すべき教科や学校規模などに応じた柔軟な教科担任制を導入することを検討する方針が示されています。

 この教科担任制の導入の背景を、以下、4つの項目に整理してまとめてみます。

教科担任制の背景 -1 教育内容の専門性の向上
 道徳の教科化に続き、小学校では外国語科やプログラミング教育など、専門性が高い授業が新たに加わることになります。また、小学校高学年においては、ますます発達段階を踏まえた指導が必要になってきます。教科担任制を導入することによって、教材研究が深化し、教科指導の専門性が高まり、授業の質の向上が図られることが期待されています。

教科担任制の背景 -2 授業数の増加
 新教育課程では、授業時数が増加しました。小学校第4学年以降は、年間総授業時数が35単位時間増加し、中学校第1〜3学年と同じ1015単位時間になります。従来の教科担任制では担任教員の負担がさらに増すことになるため、教科担任制の導入によって授業準備の効率化を図るとともに、それによる教師の負担を軽減しようとしています。
 なお、今回の論点の取りまとめには、教科担任制とあわせて、教員定数についても見直しや、質の高い教員をどのように養成していくかについても検討していくことが明示されています。

教科担任制の背景 -3 児童の心のケア
 論点の取りまとめでは、教科担任制の導入によって、「複数教師による多面的な児童理解による児童の心の安定が図られる」とされています。学級担任制は、一人ひとりの児童と接する時間が長く、しっかり見とれるという良い面があります。ただ、学級内での問題が起きた場合などは、保護者や児童は担任のせいにしたり、それらの問題を担任が抱え込んでしまったりする傾向もあり、複数教師による多面的な見方は、そういった面からも有効と考えられています。

教科担任制の背景 -4 小中学校連携の強化
 教科担任制の導入によって「小・中学校間の連携による小学校から中学校への円滑な接続などが実現できる」ことも、論点の取りまとめで示されています。
 昨今、中1ギャップについて問題意識を持っておられる先生に多くお会いし、学習面だけでなく、環境面の変化の影響についてもお聞きします。学習面での小中連携はもちろんですが、教科担任制が導入されれば、小学校から教科担任制に慣れていることになるため、こういった環境面でのギャップなどの解消にもつながることが期待されています。

教科担任制の今後の動きは?
 教科担任制による指導は、児童の発達段階や、教育内容の専門性などを踏まえて、小学校高学年での導入が目指されていますが、今後、義務教育9年間を通した指導体制をどうしていくかという議論につながり、教員定数や教員養成、免許、採用、研修などについても一体的に検討されていくことになります。義務教育の変化につながっていく、非常に大きなテーマと捉えています。
 改めて述べるまでもなく、現在の学級担任制には良い面も数多くあります。ただ、社会の変化、求められる学力が変化する中で、指導体制も見直す時期に差し掛かっているといえそうです。学級担任制と教科担任制の両者の良さを最大限に引き出しながら、どのように両者を組み合わせて運用していくことが最もよいのか、さまざまな観点から一人ひとりが考えていくことが、この制度をよいものにできるかどうかのスタートであると思っています。

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