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児童生徒の学習評価の在り方―「主体的に学習に取り組む態度」とは
教育zine編集部腰塚
2019/1/31 掲載

 21日、文部科学省は、『児童生徒の学習評価の在り方について(報告)』を発表しました。2020 年度以降に順次実施される小学校・中学校・高等学校及び特別支援学校の新学習指導要領の下での学習評価の在り方について、以下のようなことがまとめられています。

「観点別評価については、目標に準拠した評価の実質化や、教科・校種を超えた共通理解に基づく組織的な取組を促す観点から、小・中・高等学校の各教科を通じて、
●『知識・技能』
●『思考・判断・表現』
●『主体的に学習に取り組む態度』
の3観点に整理することとし、指導要録の様式を改善することが必要

 現行の評価方法からの変更幅が大きい『主体的に学習に取り組む態度』については、

(1)『主体的に学習に取り組む態度』として観点別評価を通じて見取ることができる部分と、(2)観点別評価や評定にはなじまず、こうした評価では示しきれないことから個人内評価を通じて見取る部分があることに留意する必要がある

とされています。

 (1)については、過去に開催されたワーキンググループ等で仮に示されていた評価基準でも、教科ごとに調査官が異なることから「教科間で基準の示し方の統一がなされていない」などの不安が残っていましたが、今回の発表でも、教科ごとの評価基準が明確に示されているわけではなく、実施に向けてはまだまだ不安の残る状況のように感じます。

 (2)については、「その実態に応じて教師が学習の進め方を適切に指導するなどの対応が求められる」ものであるとされていますが、教師による児童生徒ひとりひとりの目標設定や学習状況の把握・適切なフィードバックが必要にもなってくると感じ、先生がたの負担増につながるのではないかと感じます。先生方の負担については、「学習評価や成績処理についての教師の負担軽減に向けてICT環境を整備する」というような趣旨の記述もありますが、果たしてそれだけで、今回新たに先生がたに課せられている児童生徒ひとりひとりへの手当てができるほどの負担軽減ができるのでしょうか。また、1学級あたりの児童生徒の人数によって、先生による手当てに差が出てしまう可能性もあるのではという点にも不安を感じます。

 さらには、「小学校・中学校・高校を通じて」という視点についても、「入試」という切り口以外からは方策が出されていない状況です。

 2020年度以降の実施に向けて、今後の動向を見守りたいと思います。

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