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新学習指導要領 中学校英語科の注目ポイント
教育zine編集部浜田
2017/3/31 掲載
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 新しい学習指導要領が公開されました。
 小学校での教科化が予定されている英語はどのように変更されるのか、中学校の学習指導要領の変更点を中心に見てみたいと思います。

1.目標についての変更点
 現行版学習指導要領では目標は「聞く」「話す」「読む」「書く」の4領域で示されていましたが、「話す」が[やり取り]と[発表]の2領域に分かれ、5領域になりました。これは言語学習の到達度を示すCEFRや、それをもとに作成されたCEFR-Jなどで使われている分け方が取り入れられたのだと思われます。
 また、5領域の全てにおいて、「社会的な話題」という言葉が使われ、社会的な話題について理解し、話したり、書いたりする活動が取り入れられると考えられます。現行の教科書でも地球温暖化やマララ・ユスフザイ氏のスピーチなど、社会的な話題が取り上げられていますが、こういった内容が更に増えていくのかもしれません。

2.内容についての変更点
 小学校に移行した内容と、中学校に新しく追加された内容はそれぞれ以下の通りです。

【小学校に移行した文、文構造】
◆文
・単文(接続詞で結ばれず、主語と述語が1つずつの文)
・肯定及び否定の平叙文
・肯定及び否定の命令文
・動詞で始まる疑問文
・助動詞(can、 doなど)で始まる疑問文
・5W1H(how、 what、 when、 where、 who、 why)で始まる疑問文
◆文構造
・主語+動詞
・「主語+動詞+補語」のうち、「主語+be動詞+{名詞/代名詞/形容詞}」
・「主語+動詞+目的語」のうち、「主語+動詞+{名詞/代名詞}」

【新規に追加される文、文構造、文法事項】
◆文
・感嘆文のうち、基本的なもの
◆文構造
・「主語+動詞+間接目的語+直接目的語」のうち、「主語+動詞+間接目的語+{thatで始まる節/whatなどで始まる節}」
・「主語+動詞+目的語+補語」のうち、「主語+動詞+目的語+原形不定詞」
・「主語+be動詞+形容詞+thatで始まる節」
◆文法事項
・接続詞
・助動詞
・前置詞
・現在完了進行形
・仮定法のうち基本的なもの

 また、小学校学習指導要領にも、動名詞や過去形の基本的なものを学習することが明記されています。現在中学1年生で学習している内容のうち、現在進行形以外はほとんどの内容が小学校から学習することになるといえるでしょう。
 ただし、「指導計画の作成と内容の取扱い」の中で「小学校第3学年から第6学年までに扱った簡単な語句や基本的な表現などの学習内容を繰り返し指導し、定着を図ること。」とも書かれていますので、中学校でも小学校内容の復習をしつつ学習することになるようです。

 また、学習する単語数については小学校で「600〜700語程度」、中学校で「1600〜1800語程度」の新語を学習すると書かれています。現在発行されている英語教科書6種について、1年生の新出語の平均語数を調べると約600語でした。ちょうど中学1年生で学習するくらいの単語数を小学校で学習することになります。また、3学年通しての新出語を平均すると1400語程度でした(固有名詞なども含む)。この学習指導要領が実施された後は、現在3年間で学習している単語数よりさらに200〜400語多い語数を覚える必要があります。

3.まとめ
 小学校での英語教育が本格的に始まれば、義務教育で7年間英語を学習することになります。今回、発表された学習指導要領では学習する内容も増え、先生方や生徒たちの負担は増えるのではないかと心配する声も聞こえてきます。今後の英語教育がどのように動いていくか私たちも注目して参ります。

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