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新学習指導要領(案)算数科・数学科の注目ポイント
教育zine編集部太田
2017/3/17 掲載
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  • 学習指導要領・教育課程

 新しい学習指導要領(案)が公開されました。
 今回の新学習指導要領(案)では、数学的な見方・考え方を働かせ、数学的活動を通して資質・能力を育成することを目指しており、資質・能力は「知識・技能」、「思考力・判断力・表現力等」、「学びに向かう力・人間性等」の3つの柱に沿って構成されています。これにともない様々な変更がある中で、ここでは、領域の再編と統計的な内容の充実の2点について取り上げます。

領域が変更に

 1点目の領域の再編については、まず現在の指導要領では「A 数と計算(数と式)」「B 量と測定(図形)」「C 図形(関数)」「D 数量関係(資料の活用)」の4領域で構成されています(かっこ内は中学における領域)。
 新学習指導要領(案)では、算数は現行「B 量と測定」を元にした「C 測定(小1〜3年)」「C 変化と関係(小4〜6年)」が、現行「D 数量関係」を元にした「D データの活用」が新設されています。Cについては小学低学年、高学年で名称が異なるようになります。数学は、現行「D 数量関係」を元にした「D データの活用」が新設されています。

新学習指導要領(案)における領域

統計的な内容の充実

 2点目の統計的な内容の充実については、今回の新学習指導要領(案)の中心的な変更点の一つです。各学年の統計的な内容における主な変更点は以下の通りです。なお、どの学年も、思考力、判断力、表現力等を身に付けることも追記されております。

◆小1
  • ものの個数について、簡単な絵や図などに表したり、それらを読み取ったりすること。
◆小3
  • 棒グラフの特徴やその用い方を理解すること。
  • 最小目盛りが1、5又は10、50などの棒グラフや、複数の棒グラフを組み合わせたグラフなどにも触れるものとする。
◆小4
  • 折れ線グラフの特徴とその用い方を理解すること。
  • 複数系列のグラフや 組み合わせたグラフにも触れるものとする。
◆小5
  • データの収集や適切な手法の選択など統計的な問題解決の方法を知ること。
  • 複数の帯グラフを比べることにも触れるものとする。
◆小6
  • 代表値の意味や求め方を理解すること。
  • 度数分布を表す表やグラフの特性及びそれらの用い方を理解すること。
  • 目的に応じてデータを収集したり適切な手法を選択したりするなど、統計的な問題解決の方法を知ること。
◆中1
  • ヒストグラムや相対度数などの必要性と意味を理解すること。
  • 目的に応じてデータを収集して分析し、そのデータの分布の傾向を読み取り、批判的に考察し判断すること。
  • 多数の観察や多数回の試行によって得られる確率の必要性と意味を理解すること。
◆中2
  • 四分位範囲や箱ひげ図の必要性と意味を理解すること。
  • コンピュータなどの情報手段を用いるなどしてデータを整理し箱ひげ図で表すこと。
  • 四分位範囲や箱ひげ図を用いてデータの分布の傾向を比較して読み取り、批判的に考察し判断すること。
◆中3
  • 標本調査の方法や結果を批判的に考察し表現すること。

 上記からもわかるように、小学生では低学年からデータに触れて用い方を理解する内容になっています。内容の取扱いでは「複数のグラフを比べるものとする」など、グラフそのものを理解するだけに留まらない具体的な取り扱いについて記載されるようになりました。
 小学6年では現行の中学1年で学習する「代表値」を、中学2年では現行の高校で学習する「四分位範囲」「箱ひげ図」を新たに扱うことになっており、統計教育の充実が図られております。

 今後、パブリックコメントを受けて修正や追記があるのか、あるのならどのような内容となるのかが注目されます。

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