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「子どもたちのコミュニケーション能力を育むために」審議経過報告を公表―文部科学省
教育zine編集部杉浦
2011/9/1 掲載

 文部科学省は8月29日に『子どもたちのコミュニケーション能力を育むために〜「話し合う・創る・表現する」ワークショップへの取組〜審議経過報告』を公表しました。このとりまとめでは、昨年5月に設置された「コミュニケーション推進会議」と、その下の二つのワーキンググループでの審議経過の報告がされています。

子どもたちに本当に必要なコミュニケーション能力とは?

 本報告では、コミュニケーション能力を、

いろいろな価値観や背景をもつ人々による集団において、相互理解を深め、共感しながら、人間関係やチームワークを形成し、正解のない課題や経験したことのない問題について、対話をして情報を共有し、自ら深く考え、相互に考えを伝え、深め合いつつ、合意形成・課題解決する能力

としています。そして、多文化共生時代を生き抜く能力として、この能力を育むことを極めて重要としています。
 新しい学習指導要領でも同様に、言語活動を充実することによって、コミュニケーション能力を育むことが期待されています。

どうやってコミュニケーション能力を育成するの?

 文科省では、平成22年度から、コミュニケーション能力の育成をはかるために、芸術家等を学校へ派遣し、芸術表現体験活動を取り入れたワークショップ型の授業を展開する事業を実施しています。このような事業は、イギリスやフランス、アメリカ、韓国などで子どもたちの創造性やコミュニケーション能力を育む機会として取り入れられ、成果をあげているとのこと。
 国内で行われた取り組みの特色としては、以下の点があげられています。

  1. 小集団で協働し、正解のない課題に創造的・創作的に取り組む活動を中心とするワークショップ型の手法をとる
  2. 演劇的活動など表現手法を抱負に取り入れている
  3. ワークショップの理論や手法を備えた芸術家等の外部講師が授業に参画する

どのようなコミュニケーション能力が育成されたの?

 上記のような取り組みの結果、次のような効果が子どもたちに認められたということです。

  1. 他者認識、自己認識の力の向上
  2. 「伝える力」の向上
  3. 自己肯定感と自信の醸成
  4. 学習環境の改善(学級の学びあう集団への変化)

 今回の報告では、芸術表現活動を取り入れたワークショップ型の授業で、外部講師が参画する授業における成果がまとめられていました。しかし、先生方が気になるのはむしろ、日常的な教育活動ではどのようにしたらよいか、ということではないかと思います。
 社会に出たら、「答えのある」問題・課題はむしろ少なく、どのようによりよい結果を導くことができるかを、周りの人たちとコミュニケーションをはかりながら考えていかなくてはなりません。
 子どもたちのコミュニケーション能力を育むための活動にさらなる検証が加えられ、先生方が「やってみよう」と感じる方策や態勢が拡充されることが求められています。

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