読解力V字回復も成績下位層の多さに課題―PISA2009
2010/12/9 掲載
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経済協力開発機構(OECD)は7日、2009年に65か国・地域、約47万人の生徒を対象に実施した国際学力調査(PISA)の結果を発表した。日本は読解力分野での順位を、8位(2000年)→14位(2003年)→15位(2006年)と大きく落とし学力低下が問題視されていたが、今回の調査結果で読解力は2000年と同水準の8位に回復した。
PISAは2000年の第1回調査から3年ごとに実施され、4回目となる2009年は、読解力を中心分野として、数学的リテラシー、科学的リテラシーの3分野を調査した。中心分野である読解力では、「情報へのアクセス・取り出し」「統合・解釈」「熟考・評価」の3つの側面から成績を評価している。
日本の数学の順位は、1→6→10→9位、と依然低調な推移、科学は、2→2→6→5位、と横ばいだった。また、初参加の上海が全分野で1位となり、上海、香港、韓国、シンガポールなど、アジア各国が3分野の上位を占めた。
読解力 | 数学的リテラシー | 科学的リテラシー | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 上海 | 556 | 1 | 上海 | 600 | 1 | 上海 | 575 |
2 | 韓国 | 539 | 2 | シンガポール | 562 | 2 | フィンランド | 554 |
3 | フィンランド | 536 | 3 | 香港 | 555 | 3 | 香港 | 549 |
4 | 香港 | 533 | 4 | 韓国 | 546 | 4 | シンガポール | 542 |
5 | シンガポール | 526 | 5 | 台湾 | 543 | 5 | 日本 | 539 |
6 | カナダ | 524 | 6 | フィンランド | 541 | 6 | 韓国 | 538 |
7 | ニュージーランド | 521 | 7 | リヒテンシュタイン | 536 | 7 | ニュージーランド | 532 |
8 | 日本 | 520 | 8 | スイス | 534 | 8 | カナダ | 529 |
9 | オーストラリア | 515 | 9 | 日本 | 529 | 9 | エストニア | 528 |
10 | オランダ | 508 | 10 | カナダ | 527 | 10 | オーストラリア | 527 |
木文部科学大臣はこの調査結果を受けて、読解力は回復、数学は平均より高得点、科学も上位を維持、ととらえ、成績下位層の減少から学力は改善傾向にあると評価し、文科省の各種政策が一定の効果を挙げたものと分析した。一方、上位国と比べて成績下位層が多いこと、読解力の中でも「統合・解釈」や「熟考・評価」の側面での成績が低い点などを課題として指摘した。
- 日本の15歳、読解力改善…国際学力調査(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20101208-OYT8T00228.htm - 国際学力テスト:「学校で読書」効果 日本の読解力改善(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20101208k0000m040149000c.html - OECD生徒の学習到達度調査(PISA)(国立教育政策研究所)
※各回結果の要約など
http://www.nier.go.jp/kokusai/pisa/index.html - 木文部科学大臣コメント(文部科学省)
http://www.mext.go.jp/b_menu/daijin/detail/1299985.htm - PISA2006結果―「読解力」は8→14→15位(2007/12/6)
http://www.meijitosho.co.jp/eduzine/kaigi/?id=20070438
この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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