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改革効果? 都立高校応募倍率、10年前の水準まで回復
kyoikujin
2009/2/9 掲載

 受験シーズンもたけなわ、先週は東京都立高校の願書受付が行われた。都教育庁の6日の発表によると、全日制の応募人員は、173校2万8693人の募集に対し4万2999人で、応募倍率は前年度比0.05ポイント増の1.50倍。学区制が撤廃された2003年度以降最高で、1.5倍台にのせたのは1999年度以来10年ぶりという。

 先月、一般入試に先立って行われた都立高校推薦入試においても、全日制の応募倍率は前年度比の0.06ポイント増の2.95倍。低迷が続いていた都立校だが、人気が復活してきたといえそうだ。

 人気復活の背景には、不況の影響があるのか、それとも「進学指導重点校(※1)」や「エンカレッジスクール(※2)」など特色ある学校づくりを進めてきたここ数年の都立高校改革が実を結んできたといえるのだろうか。
 Benesse教育研究開発センターが1月に公表した「都立高校生の生活・行動・意識に関する調査」によると、現役の都立高校生が現在通っている学校を選択した理由として重視したのは以下の項目だという。

  • 自宅から通いやすいから(69.7%)
  • 学費が高くないから(66.9%)
  • 学校の校風やイメージが気に入ったから(58.9%)

 学力別に3つのグループに分けてみた結果でも、学力の1番高いグループで8割以上が「学費が高くないから」をあげている。やはり都立校の一番の魅力は学費の安さのようだ。
 しかしながら、学力の1番高いグループでは、「大学進学実績がよいから(72.9%)」や「カリキュラムや勉強する環境が気に入ったから(67.3%)」も理由の3番目、4番目にあげられており、改革の目玉の1つである進学指導重点校の取り組みも評価されているようだ。

 この調査は、2007年秋に都立普通高校の2年生を対象に、東京大学とBenesse教育研究開発センターが共同で行ったもの。参考までに主な調査結果をご紹介すると以下の通りとなっている。

  • 6割の生徒が学校生活には満足しているものの、学校の授業に満足していない生徒が過半数を越えている。
  • 6割近くが平日に家庭学習を「ほとんどしていない」。学習時間の平均は35分。
  • 平日にテレビを見る時間は平均105.4分。携帯電話の使用時間は平均101.2分。
  • 半数以上は卒業後の希望進路として「四年制大学に進学する」と回答。

 都立高校改革もさることながら、都立高校生自身の生活・意識もまだまだ改善の必要ありといえそうだ。

※1 進学実績の向上を目指し、進学指導重点校及び準備校を指定し、人事の重点配置などの支援を行う。

※2 力を発揮しきれずにいる生徒が、社会生活を送る上で必要な基礎的・基本的学力を身に付けることを目的とする。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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