QA解説 「特別の教科 道徳」の授業づくり
教科化時代が来た! 新しい道徳授業の創り方を解説します。
QA解説 「特別の教科 道徳」の授業づくり(14)
「特別の教科 道徳」の評価
筑波大学附属小学校教諭加藤 宣行
2016/7/15 掲載
  • 「特別の教科 道徳」の授業づくり
  • 道徳

B先生

 教科になるということで、当然のことながら評価のことが気になります。文部科学省の評価に関する会議「道徳教育に係る評価等の在り方に関する専門家会議」の調整も難航しているようです。評価の在り方について、具体的に教えてください。

加藤先生からのアドバイス

 人の道徳性を、同じ人間が評価できるのかという議論はかねてよりあります。たしかにできないでしょう。できるとしたらすべてを見通すことができる神様でしょう。しかし、人は神様になることはできませんし、なるべきでもありません。人は人です。つまり、人の人に対する評価は、対等な関係で行われることが基本です。
 国語や算数ですと、学習内容をきちんと習得することができたかどうかを評価できますから、指導者が学習者に対して一定の評価基準をもとに「判定」くだすことができます。しかし、道徳では指導者が教えたことがゴールではないため、どこを基準に「判定」をくだせばいいのかわかりにくいのです。考えられる道徳における評価は、次の4点です。
1 授業評価
2 形成的評価
3 自己評価
4 相互評価

解説

「1 授業評価」と「2 形成的評価」は指導者が行います

 実際の授業場面で考えていきましょう。
 低学年に「かぼちゃのつる」という教材がありますね。わがまま勝手をしたかぼちゃはつるを伸ばし放題に伸ばして、結局は車にひかれて切れてしまうという話です。ねらいとする内容項目は「健康や安全に気を付け、物や金銭を大切にし、身の回りを整え、わがままをしないで、規則正しい生活をする」というものです。ねらいも同じ文言が使われることが多いですが、それではよくわからないので、具体的に次のようにします。

@わがままをしないということは、ただ訳もなく我慢をするということではなく、自分や相手のことを考えて前向きに気持ちをコントロールすることだということに気づく。
Aそのような前向きなコントロールができると、結局は自分も周囲も好きなことを気持ちよくできるということがわかる。
B自分で自分を前向きにコントロールして、気持ちよく過ごしていこうとする。

 このように、本時のねらいを具体的に複数表記してみると、本時の流れも明確になりますし、評価もわかりやすくなります。つまり、

@わがままをしないということは、ただ訳もなく我慢をするということではなく、自分や相手のことを考えて前向きに気持ちをコントロールすることだということに気づくことができたか。
Aそのような前向きなコントロールができると、結局は自分も周囲も好きなことを気持ちよくできるということがわかったか。
B自分で自分を前向きにコントロールして、気持ちよく過ごしていこうとする態度が見られたか。

をそれぞれ評価してやればいいのです。

 @とAは授業中の子どもたちの意識の変容を把握しておけば簡単にできます。
 Bは授業後の意識の高揚と生活の様子を観察していけばよいのです。
 例えば、授業の中で次のような気づきをして、道徳ノートに書いてきたHさんという子がいます。

 今日は、「のびのび生きるというのはどういうことか」について考えました。
 さいしょはただ自分の生活しているあいだによいことをすすめていくだけだと思っていました。でも、どうとくのじゅぎょうをして、のびのび生きるのもいいけれど、人のことも考えて、自分のためにする・しないを考えるということがわかりました。
 これからも、「のびのび」を考えて、よりよいまい日にしていきたいです。

 このような、「のびのび」生きることのとらえ方の質的変容がなされたら、それを肯定的な文章でまとめてあげればよいわけです。「Hさんは、授業中に『のびのび生きる』というテーマで深く考え、ただ好き勝手にのびのびするのではなく、人のことを考えて自分のすること、すべきでないことを自分で判断することが大切だということに気づくことができました」このような、Hさんだけのコメントをしてあげることが、道徳における所見ということになりはしないでしょうか。そして、そのような評価は、具体的なねらい設定と、それをすくい上げる道徳ノートを使うことによって可能となります。
 「3 自己評価」と「4 相互評価」については、また今度お伝えします。

  • ねらいを設定するときに、なるべく具体的に複数で書くようにする。
  • ねらいの項目一つ一つに対応する形で、そのねらいが達成できたかどうかの評価を行う。
  • 達成するための手立てが有効であったかどうかの授業評価も併せて行う。

加藤 宣行かとう のぶゆき

東京生まれ。
神奈川県津久井地区公立小学校教諭を経て、現在、筑波大学附属小学校(道徳部)教諭。
筑波大学・淑徳大学講師。

(構成:茅野)
特集 「特別の教科 道徳」
コメントの受付は終了しました。