教育マグマ日記
明治図書出版教育書編集部の樋口雅子編集長が、日々の雑感を赤裸々に綴ります。
クリエイターは、決断しない?
明治図書出版編集長樋口 雅子
2015/1/28 掲載

「今月末、支払のお金が足らないかもしれません・・・」
この段階では気づいていなかったのだが、具体的に他社と比較してみると、出版点数がいかに少ないかがよくわかる。

 9年前に小出版社を起業し現在40歳になるM社・社長氏が、出版人奮闘記を出しました。その一節にあったセリフです。
同書によると、社員数×3〜7冊が年間発行点数でないと立ち行かないのだとか。
また、小出版社が、小舟であり続けるとは、

  • 一回の漁で適切な収穫を得てくる。
  • 転覆回避は当然として、不漁が続くことも許されない。
  • 次の漁までに飢えてしまいかねないからだ。

という台所事情のなかで、出版物にかける編集人としての“念”を、どう併走させるかを吐露していて、思わず一気読みしちゃいました。
確かに、同業者の、心情吐露程、興味深いものはない→教師修業の本が、それなりに関心をもたれるわけです。

●気になったのは・・。

メディア周辺からは、
「次世代を担うのは電子的クリエイター」
ということで、作家ロボットに頼めば、1時間もすれば作品が出来上がるーとして、
・「主人公・女子高生、ラストで号泣」などキーワードを打ち込めば1時間前後には作品が出来上がる。
装丁作家さんの仕事もこういう方法で「売れる装丁になるだろうー」と。
書店の売り場を構成するのも、書店員の仕事ではなくなる。コンピュータが「そつなく」おこなってくれるからーと。
―つまり人間が要らなくなる。
―時代はどんどんそういう方向に進んでいるのだと思う−と。

●共感したのは・・。

「いい本にしたい」
編集者がそう強く念ずることで、本来動くはずのものが動く。当初、想像もしていなかったことを作家が書き、マーケティングからは、決して想像出来ないデザインが生まれる。
<編集者、つまるところ、それ以外に何ができるというのか>→なるほど。。
また、20代のころ、出合い、ぼくを支え続けた「教え」があります−として。

「決断というのは、できるだけしない方がよいと思います。
“決断をしなければならない”と言うのは、既に選択肢が限定せれた状態に追い込まれているということを意味するからです。選択肢が限定された状況に追い込まれないこと、それが“正しい決断をする”ことより、ずっとたいせつなことなのです」(内田樹「街場の現代思想」)

コメントの一覧
1件あります。
    • 1
    • 天童のどんが男
    • 2015/1/31 12:08:13
    昨今の電子化は、出版業界をかなり変革していくことになるのでしょうね。それに比べ、教育界の「電子化」は「変革」を、どうもたらすのでしょうか。「共感したこと」は、リーダーが「強く念ずる」こと。学校でもリーダーが「強く念ずる」ことが、ちょっとした変化へ向かわせるってありますね。海原純子氏が「テーマをもつ」と、いつの間にか「そのテーマの方向へ」全体が向くと毎日新聞で書いてましたが。まさに、そうだと思います。しかし、なかなかトップのリーダーに「強く念ずる」ものがないのも教育界の現状。強いて言えば、「何事もなく前例で」と「強く念じて」いるかのごとくです。そこには、全く正反対の「決断しない」状況が生まれているような気がしております。せめて、どんが男は、テーマをもってやるぞ!と、一人で意気込んでいます!
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