教育マグマ日記
明治図書出版教育書編集部の樋口雅子編集長が、日々の雑感を赤裸々に綴ります。
心霊的生殖。。
明治図書出版編集長樋口 雅子
2014/5/7 掲載

「父は書くものにとても厳しい人でした。そのお話、父が点検することが出来ない訳ですから、大丈夫なのでしょうか?」
「あの、連載していただいたものを、第1部にして、2部をどうするかを、ご相談させていただきということもあり、参加させていただきました。
もちろん、私も、いわゆる追悼記のような形のものにしては、先生のご著書にふさわしくないと思っています」
と言いつつ、なぜか、10代と思しき若者を前にして、冷や汗が出る感じ〜。

5月3日の連休初日に、香西秀信先生の一周忌が開催された宇都宮大学(宇大国語学会と併催)に出かけて、<如何に出版社が信用されていないか>を物語る、若人の詰問調?の発言にちょっと立ち尽していました。。
香西先生は、専門書以外に大手出版社さんからも、新書などたくさん出されているので、他社の編集部さんを含めた評価なのだろうと思われるだけに、いささかショックを受けました。
忍ぶ会では、最後に一昨年「国語教育」誌で連載していただいた、第1回を全文、朗読していただき、
く黙読は知識になり、音読は体験になる>
を実感しました。
朗読してくださった同僚?の森田先生も我慢に我慢を重ねて涙をこらえておられましたが、やはり限度を超えられたというか〜。その後、200人はいらしたかと思われる参加者の嗚咽が会場に。。。
1年たっても、まだ、亡くなったことを信じたくない。。
<なぜ、あの先生が、55歳の若さでもっていかれたのか?>
という声に、一度もお会いしなかった悔しさで、皆さんとは一味違う塩辛い涙と共に、
香西先生の業績とお人柄に改めて思いを馳せました。
今となっては、
<連載のまとめで今までにない香西色が出るような企画にしたい>
と思いつつ、かなり頻繁にメールをしていたことを思い返していました。
連載にあった、
<著述活動も、心霊的生殖の一つ>
というご指摘、先生の語録のなかでも、異彩を放っているように思いますが、言われてみれば。。

本を出すということは、
<肉体的生殖だけでは満足しないある種の人間は、著述などを通して読者に自分の霊魂を植え付けようとしているのだ…>
ということになるーということでしょうか。
私など、その意図が成功している書籍、いくつ出せただろうか?と考えると、忸怩たるものがあります…。
でも、故郷から駆けつたお母様の嗚咽、まだ、足元がふらつくような感じの奥方の姿に、理屈をつべこべ考える自分自身に、いささかげんなりした、重い一日となりました。

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