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中学校「解説」総合的な学習の時間―見直しの視点明確に
kyoikujin
2008/7/22 掲載

 14日に文科省より「中学校学習指導要領解説」が公表された。
 今回の改訂で、新たに第4章として章がたてられた「総合的な学習の時間」(ZIP)についてみていくことにする。

 前回の改訂で新設された総合的な学習の時間は今回が初めての改訂となり、その「解説」はこれまでの取り組みを見直し、具体的な改善方法を示すものとなっている。

総合的な学習の時間に補習・学校行事の準備等を行なうことについて

 新学習指導要領では「各教科、道徳及び特別活動の目標及び内容との違いに留意しつつ…」というように総合的な学習の時間と各教科、領域との連携だけでなく違いも意識されたが、解説では具体的に、

これまでの総合的な学習の時間では、補充学習のような特定の教科の知識や技能の習得を図る学習活動が行われていたり、運動会の準備などと混同された学習活動が行われたりなどしている事例が見られた。これらについては、総合的な学習の時間としてふさわしくないものであることは言うまでもない。

といった記述が数箇所で見られる。目標である「横断的・総合的な学習」や「探究的な学習」が総合的な学習の時間で確実に実現されるよう、各教科、領域と区別をはっきりとさせ、ふさわしい活動を行うことが求められている。

学校裁量の部分(指導計画の作成〜評価、体制の整備)について

 今回の解説では、学習指導要領の文言の解説だけでなく、全体計画の作成、年間指導計画・単元計画の作成、評価、学習指導の仕方、指導体制の整備についても具体的に説明している。それらは、これまで通り各学校で設定することであるが、手順や方法、具体例を挙げながらその考え方、ポイントを解説しており、今後、各学校で改善を図る際の指針になると言えるだろう。
 以下は、生徒の関心や疑問を生かして単元計画をするときのポイントである。

第1に、生徒の関心や疑問は、そのすべてを本人が意識しているとは限らず、無意識の中に存在している部分も多いととらえることである。
・・・第2に、生徒の関心や疑問とは、生徒の内に閉ざされた固定的なものではなく、環境との相互作用の中で生まれ、変化するものととらえることである。
・・・第3に、生徒にとって切実な関心や疑問であれば何を取り上げてもいいというわけではなく、価値ある学習に結び付く見込みのあるものを取り上げ、単元を計画することである。

 生徒が抱いている関心や疑問だけをを中心に授業を進めようとしてうまくいかなかった経験がある方もいるのではないだろうか。解説では、必ずしも学習活動が生徒の関心や疑問に基づくのでなく、価値ある学習を実現するために時には教師側から提案することも必要であることを示している。

 新課程で授業時間数が減るが、その指導の充実が求められている総合的な学習の時間。今後、各学校で多様な活動が展開されることが期待される。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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