きょういくじん会議
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成人の2割「自殺本気で考えた」―内閣府調査
kyoikujin
2008/5/22 掲載
子どもの自殺予防 現代のエスプリ488号 (現代のエスプリ no. 488)

 今までに本気で自殺したいと思ったことがある成人は5人に1人―。16日、内閣府によって発表された「自殺対策に関する意識調査」によって、ショッキングな数字が明らかになりました。

 この調査は、今年の2月から3月にかけて、全国の成人男女3000名を対象に実施されました。「今までに本気で自殺したいと思ったことがあるか」という質問に、「ある」と答えた人は全体の19.1%。男性(16.3%)より女性(21.9%)の方が高く、年齢別に見ると、20歳代(24.6%)、30歳代(27.8%)で特に割合が高くなっています。
 相つぐ硫化水素自殺のニュースが報道される中、この調査結果によって、自殺防止に向けた施策のさらなる充実が求められることでしょうが、ここでは、すでに行われている教育現場での自殺防止への取り組みをいくつか紹介します。

自殺防止リーフレット

 東京都教育委員会は、今年3月、いじめ等防止指導資料「子供の命を守ろう〜子供の自殺予防に向けて〜」自殺予防リーフレット(PDF)を作成しました。
 このリーフレットでは、「急に成績が落ちる」「身だしなみを気にしなくなる」など、自殺につながる危険性のある子どもが発するサインの例が示されています。また、子どもへの好ましい言葉かけの例と好ましくない言葉かけの例なども具体的に紹介されています。
 教師用指導資料として作成され、都内公立学校の全教員に配布されているようですが、ホームページで資料の内容がわかるので、家庭でも活用できます。

絵本の読み聞かせ

 東京都の画家、夢ら丘実果さんは、自殺予防の絵本「カーくんと森のなかまたち」を教材に、首都圏の小・中学校で読み聞かせ授業を行っています。18日の毎日新聞の記事は、志木市立第二中学校での読み聞かせ授業のようすを伝え、「子どもたちの感想文をきっかけに、担任や養護教諭が見守ったり、専門医の診察で改善につながった例もある」としています。
 夢ら丘さんのホームページに掲載されている子どもたちの感想文を読むと、「だれかが困っているときやしょげたりしていた時は声をかけようと思った」、「人から見たらわたしにもいいところがあるんだ。絶対に自分から死ぬのはいやだと思った」など、授業を通して、まわりや自分を大切にしようとする気持ちが強まったことが伺えます。

検索エンジンでの防止

 これは、教育現場とは少しはなれますが、子どもも活用する機会も多いインターネットの検索エンジンでの取り組みです。17日の産経新聞の記事によると、Yahoo! JAPANでは、昨年12月から、「死にたい」などのキーワードで検索した際に、自殺防止を促すサイトへのリンクを検索結果ページの上部に掲載することにしたとのこと。実際に試してみると、「死にたい」「硫化水素 自殺」などのキーワードを打ち込むと、自殺防止総合対策センターのサイトへのリンクが表示されました。ただし、「自殺サイト」や「自殺方法」などのキーワードでは表示されず、今後、キーワードの追加や見直しが必要そうです。

 大人も子どもも心が痛みやすい世の中ではあると思いますが、命の重みや大切さをしっかりと意識していける社会づくりがされること、そして、これ以上痛ましいニュースが増えないことを願ってやみません。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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