きょういくじん会議
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シニア世代が大学で学びなおし―経験生かし若者に影響を
kyoikujin
2008/4/14 掲載
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シニア留学ガイド―セカンドライフが10倍楽しくなる

 9日の産経新聞の報道で、立教大学がシニア世代向けに新設した「セカンドステージ大学」の入学式の様子が伝えられた。少子化が進む中、各大学は定年を迎えた団塊の世代を取り込もうと様々な試みを行っているが、仕事をリタイアした世代が新たに「学ぶ」意義とは、どのようなものなのだろうか?

第2の青春を大学で―夫婦で参加できる「修学旅行」も?

 asahi.comの広告特集「立教ジャーナル」に掲載された、副総長・笠原清志氏へのインタビューによると、定員70名に対し、170名の応募があったそうで、面接からはシニア層の「学びなおしたい」「今後の人生をどう生きていくべきか迷っている」という声を感じたそうだ。家庭の経済状況のため、育児に追われていたため、学生運動のため、と大学教育を満足に受けられなかった理由は人それぞれだが、自由な時間を手にして、再び自分の興味のためだけに学びたいと考えるシニア層は多そうだ。

 立教セカンドステージ大学の設立もそのような需要に応えたかたちだ。開講予定科目を見ると、「NPO/NGOボランティア活動」や「セカンドステージとコミュニティビジネス」といった定年後の活動・人間関係づくりにかかわる授業や、「介護と看取り」「セカンドステージの暮らしと社会保障」といった高齢者の生活に即した授業がならぶ。従来のカルチャースクール的な教養よりも、実践的な知識を学べる方向性に特徴がありそうだ。若者と同様の授業を受けることもでき、フレッシュな気持ちを取り戻すこともできるという。

 また、掲げられた特徴の一つに、旅行会社や自治体とタイアップした課外授業が予定されている。海外や地方の歴史と文化を学ぶ実習らしいのだが、シルバー世代の修学旅行のようなものが想像される。

 京都大学でも3年連続で、シニアキャンパスというオープンキャンパスが催されており、京都府商工科等とタイアップして、シニア層が観光と学びの両面から満足できるプログラムを提供している。JTBといくつかの国立大学が共同で開催する、50歳以上が対象の合宿型地域学習プログラム「シニアカレッジ」も今年で3年目を迎え、産学連携による老後の修学旅行は増えつつあるようだ。

老人ホームとタイアップする大学も―若者と高齢者がともに学ぶ場に

 このような産学・官学連携によるシニア層の取り込みがさらに進んだ試みが、今年度から始まる関西大学文学部のカレッジリンク型シニア住宅だろう。高級老人ホームへの入居を条件として講義を受けられるというもので、老人ホームとしては、大学で学ぶことで高齢者の生活を生き生きとしたものにしたいというねらいがあるそうだ。

 大学側のメリットとしては、高齢者の経験を生かして、若い学生や講師陣に良い影響を与えて欲しいという目論見がある。実際、若い講師が経験豊富な「学生」から学ぶことは多いそうだ。
 各大学でシニア層を受け入れることに対し、「すでに仕事をリタイアした層が何かを学んでも社会に還元できないのでは?」という声も聞こえてきそうだが、人生経験を基盤に生まれる「知」というものもあるだろうし、それを大学という場で共有していくことで学生や社会・地域に対して貢献できる可能性もあるだろう。

 少子化とともに訪れる超高齢化社会のなかで、これらの試みが大学の生き残り政策にとどまらずに、高齢者と学校が相互に良い影響を与え合う成果を残せるよう期待したい。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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