著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
ICT“も”活用することで、数学の授業づくりを楽しみましょう!
神戸市教育委員会事務局学校教育部教科指導課指導主事吉岡拓也
2022/7/15 掲載
 今回は吉岡拓也先生に、新刊『GIGAスクール構想に対応した中学校数学の活用アイデア&アクション』について伺いました。

吉岡 拓也よしおか たくや

神戸市教育委員会事務局学校教育部教科指導課指導主事。
1990年奈良県生まれ。神戸大学発達科学部を卒業後、神戸市立高等学校での勤務を経て現職。前任校では3年間、教務部長として活躍。自律して学び続ける生徒を育てるために、同僚を巻き込んで授業づくりに取り組む。
現在は、指導主事としてICTを活用した授業改善を担当。神戸市立小学校、中学校、高等学校に足を運び、GIGAスクール構想におけるたくさん挑戦を支えている。

―本書では、「アイデア&アクション」としてICTを活用した指導に関する考えや実践を120ご紹介いただきましたが、書籍に込められた想いについてぜひお伺いできればと存じます。

 今、ICTを活用した授業づくりに悩んでいる先生が多いのではないでしょうか。目の前の生徒たちのために、ICTをどう活用して、どんな授業をつくっていけばいいのか…。
 授業の方法に、絶対解はないと思います。だからこそ、生徒をよく見て、最適な方法を選んでいく必要があります。納得できる方法を選択するためには、たくさんの選択肢(アイデアやアクション)をもつことが大前提です。本書では、

○アイデア……「明日からやってみよう」と挑戦したくなる考え方
○アクション…「やってよかった」と生徒も先生も楽しくなる行動

と定義しています。たくさんの選択肢から選ぶことを通して、よりよい授業づくりのお手伝いができればうれしいです。

―1人1台端末により授業の可能性が飛躍的に広がりましたが、その授業の魅力についてご教示ください。

 一番の魅力は、生徒の学びの選択肢が増えたことです。生徒が問題を考えるときに、自分で考えてもいいし、友達に聴いてもいいし、教科書を見てもいい。そして端末“も”使ってもいい。生徒たちの学びの選択肢の一つとして、端末があります(詳しくは本書p.11に!)。
 端末“も”使うことで、これまでできなかったような授業にチャレンジできるはず。新しいことを挑戦するってワクワクしませんか。そんなワクワクする授業を、生徒も先生も一緒になってつくっていきたいです。

―ICT活用により授業がうまくいかなくなった、かえって多忙になったという声もあろうかと存じますが、これからの数学教育ではどのような工夫が求められるのでしょうか?

 2つのことを考えています。
 1つ目は、数学の授業を通してどんな生徒を育てたいかを考えることです。ICTの活用がついつい目的となってしまうようなこともあるかもしれません。ICTは一つの手段ですので、数学の授業を通してどんな力を付けたいのか、どんな生徒になってほしいのかを考えることで、ICTも有効に活用できるはずです。
 2つ目は、学校や教室で数学を学ぶ意義を考えることです。端末を使えば、何でもすぐに調べることができます。YouTubeなどにも、わかりやすい学習動画がたくさんあります。つまり、家庭でもこれまで以上に数学を学ぶことができる環境が整いました。そんな中で、学校で友達と同じ空間で学んでいるからこそ、わからないことを探究する、時には友達と支え合う、そんな数学教育でありたいです。

―先生は神戸市の小学校、中学校、高等学校に数多く足を運び、授業への助言や研修等を行っていらっしゃいますが、様々な事例をご覧になられる中で得られた発見がありましたらご教示ください。

 数えてみると、令和4年7月現在で150回ほど学校に訪問しました。本当にありがたいことです。学校に訪問させていただくと、私自身が学ぶことばかりです。その中でも特に、先生同士のよりよい同僚性の大切さを学びました。
 研修をさせていただくと、先生同士の関係性がとてもよく伝わってきます。ICTの活用や授業づくりにチャレンジできている学校は、先生同士が困ったことを相談し合える関係性ができているんです(詳しくは本書のp.114をご覧ください)。
 同僚と挑戦できる、失敗もたくさん共有できる、困ったときに支え合える、そんな学校が増えたらうれしいです。

―読者の先生方へ向けて、最後にメッセージをお願いいたします。

 私から先生方に質問してもいいでしょうか。「授業づくりって楽しいですか?」
 私の場合は、授業づくりの楽しさを生徒たちから教えてもらいました。たくさん挑戦する、そして挑戦の先に生徒の成長がある、そんな授業づくりです。しかし、挑戦には失敗がつきものです。だからこそ、失敗を共有できる、支え合える仲間の存在が欠かせません。この本を手に取ってくださった方にとって、私もそんな仲間の一員でありたいです。そして、先生方の授業づくりへの挑戦を後押しできれば、私もうれしいです。
 本書の最後には、私のメールアドレスも載せています。「こんな実践しました!」という報告や「こんなときにうまくいきませんでした…」という相談をぜひぜひお待ちしています。
 みんなで授業づくりに挑戦していきましょう!

(構成:赤木)
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