- 著者インタビュー
- 教師力・仕事術
デジタルでもアナログでもできることは、まずはデジタルでやってみることを心がけています。同じ結果が得られるのであれば、アナログな方法で時間を浪費するのは避けるべきだと思っています。
子供たちにとって最も身近な大人である教員は、ゆとりを持って仕事をして、充実した人生を送っている背中を、四六時中見せつける義務があると思っています。「楽」に「楽しく」業務を進めることが、最高の教育だと思っています。
最初から仕事が効率化できるとは思わないことです。私の場合、面白そう、使えそうと思ったものがあったら、Webサービスやアプリなどの無料や安価で使えるものであれば、とりあえず手を出してみます。
これからの先生の役割は「教える人」から「寄り添い、誘なう人」に変わっていくだろうと感じています。
私が初任の頃には、指導案というシナリオを作り、それに沿った授業を展開していくことが正解のように指導されてきました。指導案通りの授業にならなければ教材研究や見通しが甘いとか、児童理解が足りないとかのご指導を受けてきました。
これからの授業では、ゴールを示し、最低限必要な知識や技能を指導した後は、子供たちに自由に考えさせ行動させるものになっていき、今までのような詳細な指導案は存在意義を失っていくでしょう。
子供たちに、寄り添い、見守り、必要に応じて直接的な指導を加えることが、教師の役割になっていきます。
子供に未来を示しながら寄り添い共に進んでいく力と、絶えず進化するテクノロジーを有効的に授業に取り入れる授業設計能力が求められるようになるのではないかと感じています。
本書では、ICTで教師の仕事を改革する際の視点として
- 業務の効率を高める(個人としての業務)
- チームの生産性を高める(集団としての業務)
- 学級経営の質を高める(教師の指導力1)
- 授業の質を高める(教師の指導力2)
- 自己の知識を研鑽する(教師の学び)
の5つを紹介しました。
まずは個人でできることから業務を改善していくことから始めるのが良いと思います。ICTは非常に便利なものですが、苦手とする人がいることも事実です。まずは誰にも迷惑がかからない範囲で、個人の範疇でICTを活用していくのが良いと思います。
しかし、個人でできることには限界があります。組織全体のICT活用が進まなければ、いつまでたっても仕事が「楽」にはなりません。しかし、ICTを苦手とする人や否定的な人が多い職場では、なかなかICT化がすすみません。まずは、やって見せる、やってあげることで、ICT化の良さを味わわせるようにすると、スムーズに進むことが多いようです。
いきなり授業で活用するのはあまりお勧めできません。授業以外の活用で教師も子供達も十分にICTに慣れ、ICT活用が珍しいことでなくなってから授業で活用することをお勧めします。ICTが道具どころか手指のごとく当たり前になってから授業で活用すると、驚くほど授業が改善されます。具体的には、作業に費やしていた時間が激減し、対話や思考に使える時間が増えます。
ICTの使い方の習得に時間を使う必要はありません。使っているうちに勝手に身に付きますし、知っている人に教えてもらえば良いのです。研鑽しなければならないのはICTを効果的効率的に学習活動に組み込むための知識です。それを独学で身につけるのは楽しいのですが効率的ではありません。SNS等を有効活用して、効率的に知識を増やしましょう。
あまり難しいことを考えず、とりあえず始めてみるのが良いと思います。ちゃんとできるようになってからと考えていると、いつまでたっても始められません。動きながら考えていけば良いと思います。
1つだけはっきりしていることは、新しいものを導入する際は、一時的に生産性が低下する場合が多いということです。慣れないことをするのですから当然です。
しかし、そこで「やっぱICTはダメだ!私には無理!」と投げ出さないで欲しいのです。
一時的に時間のロスが生じるかもしれませんが、それを乗り越えると費やした時間以上の効果が得られるはずです。
デジタルでもアナログでもできることは、まずはデジタルにしてみてください。どうしてもアナログでなければならないことや、アナログの方が明らかに効果的なものだけを、アナログに戻しましょう。