- 著者インタビュー
- 保健・体育
知識(わかること)の重要性が一層明確になったかと考えています。知識は、知識・技能の整理となっていますが、技能のもととなる知識だけではなく、課題解決(思考・判断・表現)のもととなる知識や態度のもととなる知識などの指導を充実し、わかることとできることを往還させる授業づくりが一層大切になると思います。そのプロセスに授業の醍醐味が秘められていると考えます。観点別評価の充実が一人ひとりの生徒の主体的・対話的で深い学びの充実に向け、中核的役割を果たすものと考えます。
本書では、単元構造図を用いて、単元全体を俯瞰できるように工夫しています。単元目標に対して、いつ、何をどのように指導し、指導を継続し、評価するのかを一枚シートで示しています。
授業では、1時間、1時間が勝負になることと思いますが、単元のストーリーを事前に描くことで、毎時のつながりや学びの連続性のイメージがしやすくなります。「設計図は緻密に、実践は生徒に合わせて大胆に」を具体化するツールです。
参考資料をさらに咀嚼して、年間指導計画から、単元を想定し、単元ごとにテーマ設定をし、領域の重点化例を示しつつ、事例に応じたテーマやICT活用、評価収集の方法など、体育科教育学の知見、学校現場で活躍する先生方の経験などを織り交ぜた情報となっています。また、様々な経験年数に応じて活用いただけるようバランスを考え事例を作成いただいています。
「目標に準拠した評価」の意義である、学習指導要領に示された内容を、誰にでも「概ね満足」と判断される状況になり得る可能性を保証するために、「なぜ、学ぶのか」「何を学習するのか」「どのように学習するのか」をしっかりと生徒に指導することが重要なのではないでしょうか。観点別評価は、形成的な評価として位置づけ、育成に向けた装置であると考えます。
学校現場では、新型コロナ対策、GIGAスクール、多様な生徒への対応など、誠心誠意取り組まれている先生方の情熱に頭が下がります。観点別評価は、さらに業務の負担となるのではなく、生徒の変容を通して必要性を実感していただけるよう本書が少しでもお役に立てることを願い、編集に関わらせていただきました。
「保健体育の学習があったから今がある」「保健体育からたくさんの学びがあった」と将来、生徒が評価してもらえるような資質・能力の育成のため、保健体育に関わる全ての関係者で一丸となっていけたらと願っています。