著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
歴史人物学習はエピソードで楽しく知的に変わる!
山の麓の会宗實 直樹ほか
2020/10/9 掲載
今回は山の麓の会の先生方に、新刊『社会科授業サポートBOOKS 歴史人物エピソードからつくる社会科授業42+α』について伺いました。

山の麓の会やまのふもとのかい

2012年12月29日、姫路市北部の山の麓にて結成。「授業づくり」を中心に、共同研究をすすめる反省的実践家集団である。
サークル名の由来は諸説ある。「一歩一歩を大切に地道に力をつけ山の頂を目指す」「どんな険しい山も仲間と力を合わせて登る」といった意味合いが有力候補。
「授業」にこだわり、目の前の子どもの力を伸ばすために授業研究を続けている。他人事ではなく当事者意識をもって共同研究に取り組み、協働的に質の高い問題解決を目指している。立ち止まり、見直し、整理し、そしてさらに新しさをもって前に進む。このように、常に「反省的実践」という視点をもって研究することにこだわりをもつ研究会である。

―本書は、『小学校学習指導要領解説 社会編』にあげられている歴史人物42人にまつわるエピソードと、それを活用した授業づくりについて詳しく書かれています。歴史人物のエピソードを活用する魅力とは何でしょうか。

 石元:一番は子どもの興味・関心を高めることができることでしょう。エピソードはその人物の物語であり、物語には力があります。物語からその人物を身近に感じたり、生き方に共感したりすることができ、それがきっかけとなって歴史学習そのものが好きになる可能性があると考えています。

―「ただのエピソード集ではない」というところにこだわられたということですが、そのこだわりを教えていただけますか。

 有馬:歴史人物のエピソード関連の書籍は数多くあり、インターネットで情報を手に入れることも容易です。私たちは、そのエピソードから授業をつくったり、授業づくりにエピソードを活用したりしたいと考えました。子どもたちに歴史の面白さを教え、社会科の資質・能力の育成を目指して、とことん、授業づくりにこだわりました。「授業づくりの研究会」が「山の麓の会」だと思っていただければと思います。

―本書では、エピソードを活用する場面を「つかむ」「調べる」「まとめる」に分けて示されています。どこでどんなエピソードを活用するか、どんな基準で考えられているのでしょうか?

 田村:どれだけ魅力的なエピソードでも、使う場面や方法を事前に計画しなければ、授業のねらいを達成できなかったり、子どもたちの思考の流れを遮ってしまったりします。
 そこで、本書では「つかむ」「調べる」「まとめる」という社会科の授業構成を大切に、どこでエピソードを活用すれば効果的かを整理しました。
 「つかむ」のエピソードは、興味・関心を高めたり、問いを生み出したりすることができます。「調べる」では、人物の言葉や行動の意味を考えさせることで、歴史的事象についての理解を深めさせることができるエピソードを選びました。そして、「まとめる」では、ふり返る内容を豊かにできるエピソードや、課外での追究につながると期待できるエピソードを選んでいます。
 このように、本書のエピソードを活用することで、授業のねらいが達成できるものと想定しています。

―様々なエピソードが掲載されていますが、特に印象に残っているエピソードはありますか?

 中島:私個人の意見では、小野妹子が親書を紛失したエピソードが印象に残りました。私も驚きましたが、それ以上に児童が驚くと思います。その驚きを原動力にすれば、「もっと知りたい」という意欲が高まり、児童が積極的に思考する授業をつくりあげることができると思います。
 印象に残るエピソードは、読者によって異なるはずです。本書のエピソードからは、新たな知識を得るだけでなく、驚きを感じることもできると思うので、楽しみながら読んでいただければと思います。

―本書では、42人の人物のほかに、7人の歴史人物が取り上げられています。この7人を選ばれた理由を教えてください。

 木下:まず、42人と比較して学習を深めたり、歴史的事象を多角的に見られる人物を、古くは「卑弥弓呼」から約40名を拾い上げ、吟味しました。そして共同研究・実践を行った人物を優先的に選び、次に子どもたちが日常的に、また他教科でも目にする人物に絞りました。新紙幣の肖像となる3人はその典型です。さらには、戦後史の学習を充実させるための人物を選択しました。

―読者のみなさんへメッセージをお願いします。

 宗實:歴史人物の「エピソード」からつくる授業書は多くありません。そういう意味では、みなさまの歴史授業をちょっと違った角度からちょっと豊かにできる書になったと自負しています。本書を手元に置いていただき、手軽に活用していただけると幸いです。
 「山の麓の会」では、これで終わりにするのではなく、本書の実践を再度授業を通してバージョンアップしていくつもりです。まだまだ授業づくりを愉しみます。ぜひ読者のみなさまも共に!
 「山の麓の会」の月1の定例会にご興味ある方は、下記アドレスまでご連絡ください。どなたでもご参加いただけます。
 yamanofumotonokai@gmail.com

(構成:茅野)
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