著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
学級開きだけがんばっても、12か月は乗り切れない!
栃木県小山市立寒川小学校須永 吉信
2019/6/5 掲載
 今回は須永吉信先生に、新刊『6月からの学級経営 1年間崩れないクラスをつくるための戦略・戦術』について伺いました。

須永 吉信すなが よしのぶ

1986年生まれ。群馬大学教育学部卒業。栃木県小山市立寒川小学校勤務。おやま教育サークル代表。「授業道場野口塾」青年塾生。山中伸之氏に師事。サークルの理念「良いものは良い 良いものは続く 良いものはいつか受け入れられる」をモットーに、日々授業や学級経営に励んでいる。研究分野は国語教育、道徳教育、学級経営など。

―本書の第1章は、「“魔の『6月』”がやって来た!」というタイトルです。6月の学級経営というのは、具体的にどのようなところに難しさがあるのでしょうか。

 6月の難しさは、「その場しのぎ」が通用しなくなるところにあると思います。4月にしっかりと堤防を築き上げたクラスは、台風が来ても大丈夫です。しかし、その場しのぎで土塁を積んできたクラスは、台風にはとても耐えられません。6月はこういった「インフラ整備(クラスのシステム、ルール等)の綻び」が顕在化し、メッキがはがれてくる時期なので、教師としての本当の技術、対応力が問われます。
 また、子どもたちとの距離感も非常に難しくなってきます。例えば、遊びで非常に盛り上がっているときに指導すべきことを躊躇してしまう。4月にはずばりと言えたことを遠慮してしまう。教師も同じく「馴れ合い」の中にいます。その自覚が必要です。

―夏休みが明けて、9月のリスタートをどう切るのかというのも、学級担任の先生の腕の見せ所だと思います。その9月のリスタートに際して、ずばり1点、これだけは押さえた方がよいということを教えてください。

 1点あげるとすれば、それは「ハードを変えよ」ということです。例えば、学習内容(ソフト)が変わっても、授業形態(ハード)が変わらなければ、子どもたちは1年間同じ授業形態の中で授業を受け続けることになります。子どもたちは成長していくのですから、冷静に考えればこれは異常事態です。
 2学期は軌道修正が必要です。例えば、1学期の授業で子どもたちが一斉授業に慣れてきたのなら、2学期は授業に「話し合い」を導入していく。加えて、子どもたちが「話し合い」に慣れるための手立てを具体的に打っていく。このように「ハードを変える」ことがリスタートのカギであり、同時にマンネリ化の防止にもつながります。

―本書の後半の章(2学期以降)では、学級の完成に向かって、自主的、自律的な学級づくりの重要性が繰り返し述べられています。そういった学級経営を行うために、学級担任の先生自身はどのようなスタンスで関わっていけばよいのでしょうか。

 私は学級の完成を「自立」と捉えています。自分たちで考え、自分たちで行動を選択し、社会で生きていく。そのためには、早い段階で「ただ言われたことをやる」という受動的な立場から脱却しなくてはなりません。人が能動的に行動を選択するために必要なのは、行動への「価値」、つまりは「理念」です。物事への「価値」、行動への「理念」がしっかり築かれている人は、自分で意思決定し、行動することができます。
 ですから、指導者として私が学級の完成に向かって意識するのは「率先して理念を語る」「(話し合いなどを通して)子どもたちと理念を共有する」「行動を見守る」の3つです。また、ついつい口うるさくなる自分を制するのも、大切なスタンスの1つです。

―最後に、読者の先生方へメッセージをお願いします。

 私は、本書の「はじめに」に「志を同じくする若い世代の教師、いや日本中すべての教師に、『もっともっと元気になってほしい!』と心より願っています」と書きました。
 教師として一番大切なのは、先生が毎日元気に教壇に立つことです。そして、教室で子どもたちとたくさん笑い、愉快に過ごすことです。さらに、大人たち同士も和気あいあいと楽しく仕事しているところを、子どもたちに見せられたら最高です。
 教師が元気に、笑顔で、楽しく、上機嫌でいる。これらに勝る教育効果はありません。
 本書はその一心で書き上げました。本書に、そのささやかなお手伝いができれば幸せに思います。

(構成:矢口)
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