著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
教科「外国語」につながる外国語活動を…Let’s try !
大阪樟蔭女子大学教授菅 正隆
2018/6/14 掲載

菅 正隆かん まさたか

大阪樟蔭女子大学教授。岩手県北上市生まれ。大阪外国語大学卒業後、大阪府立高等学校教諭、大阪府教育委員会指導主事、大阪府教育センター主任指導主事、文部科学省初等中等教育局教育課程課教科調査官・国立教育政策研究所教育課程研究センター教育課程調査官を経て、2009年4月より現職。文部科学省教科調査官時代、日本初の小学校外国語活動導入の立役者。英語授業研究学会理事。

―本書には、『『授業力&学級経営力』PLUS 小学校 外国語 “We Can!”の授業&評価プラン(全2巻)』の続編として、小学校3・4年生向けの外国語活動の新教材“Let's Try!”1と2の授業がすぐにできるよう、全70時間の学習指導案が収録されています。移行期も本番となった今、本書をどのように活用してほしいと思いますか。

 小学校3年生から英語を指導するには、これまで5年生から行ってきた外国語活動とは異なり、さまざまな点でイメージを払拭する必要があります。例えば、子どもの発達段階を念頭に置きながら、内容面では、3年生の知的レベルに合った簡単なものを取扱います。しかし、音声やリズムについては、5年生の時と大差ない扱いとすることが大切です。それは、3年生だからといって日本語のような発音をしたり、ゆっくりとしたリズムで発音したりするのでは、後々効果が期待できないからです。
 以上の点を踏まえて、本書では、コミュニケーション活動(言語活動)は楽しく興味関心を持って取り組む一方、表現や語彙、音声では、5年生の”Hi, friends!”レベルと同等の指導を行うように練られています。これは、他社の類似本とは比べものになりません。

―また、まもなく1学期末になります。これから新教材での初めての評価が始まりますが、本書ではどのように役立てることができますか。

 評価の3つの観点を踏まえ、授業でのねらいと評価のポイントを明確にし、授業内では、どの活動時にどのように評価をしていくのかも明示しています。また、巻末には、「指導要録記入例」「通知表文例集」及び「振り返りカード」「評価補助簿」を完備し、さまざまな場面での先生方の評価の支援となるよう工夫されており、他社の類似本とは比べものになりません。

―子どもたちにとっては英語との本格的に出会いになる外国語活動ですが、導入期としてどのような点に注意する必要がありますか。

 まずは、先生方が中学校や高等学校で受けてきた英語の授業のような、先生が一方的に英語を教えるスタイルから離れ、体育や図画工作の授業のように、まずは子どもたちに英語を使わせ、英語に慣れ親しませていくことが大切です。つまり、外国語活動は実技科目と言っても過言ではないのです。そして、先生方も子どもと一緒に楽しく笑顔で英語を使う体験を積んでいくことです。その積み重ねが、子どもたちのコミュニケーション能力の素地を育てるのです。

―また中には初めて英語を教える先生もいらっしゃるかと思いますが、授業のスキルアップのために、どのようなことを心がけるとよいでしょうか。

 「英語を学ぼうとするモデル」として子どもたちの前に立ち、先生方のひたむきさ、そして、笑顔で英語を話そうとする姿を子どもたちにたくさん見せることで、子どもたちは英語に恐れることなく、積極的にコミュニケーションを図ろうとしたり、人の話を一生懸命に聞こうとしたりするものです。恐れることはありません。子どもたちと一緒に楽しみましょう。

―最後に全国で外国語活動の授業を行っている先生方に一言、メッセージをお願いします。

 一生懸命外国語活動に取り組んでいる先生方、そのことは、将来を見据えると大変価値のあることです。今こそ指導力を磨くときなのです。特に、この移行期間にさまざまな挑戦をしてください。もう、英語が苦手だからといって、戸惑う時間も場所もありません。勇気と希望と笑いを持って、子どもたちの未来のために、英語の授業に取り組みましょう!

(構成:木山)
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