著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
「考え、議論する道徳」への授業改善をしよう!
早稲田大学教職大学院教授田中博之
2018/3/20 掲載

田中 博之たなか ひろゆき

早稲田大学教職大学院教授。専門は,教育工学および教育方法学。1960年北九州市生まれ。大阪大学人間科学部助手,大阪教育大学助教授,教授を経て,2009年4月より現職。文部科学省「全国的な学力調査に関する専門家会議」委員(2007年〜)

―本書のテーマである「道徳ワークショップ」とはどのようなものですか?

 道徳ワークショップとは、道徳科の授業において子どもたちがグループになって、ある道徳的問題についてそれぞれの考えを交流したり、多面的・多角的なものの見方を出し合ったり、グループでまとめた考え方を図解で表現したりする共同作業のことです。まさに、これからの「考え、議論する道徳科」の授業づくりや、「主体的な学び」「対話的な学び」を生み出すために不可欠の活動です。

―本書の第2章には具体的なツール、アクティビティ、ポートフォリオがたくさん紹介されています。これらを実際の授業に上手く取り入れるコツを教えてください。

 「主体的・対話的で深い学び」としての道徳科の授業を生み出すためには、これまでのように、黒板とワークシート、挿絵の拡大コピーといった教具だけでは十分ではありません。子どもたちの協働的な思考を活性化させるとともに、多面的・多角的なものの見方をうながしたり、判断力や表現力を育てたりすることをねらいとして、本書で紹介した多様なツールアクティビティ、そしてポートフォリオを活用することが大切です。3章と4章では、お薦めの活動も実践事例に位置付けて具体的に解説しました。

―購入者限定でダウンロードできるデータもあるそうですが、それはどのようなものですか?

 本書で紹介した道徳ツール道徳ポートフォリオのファイルをダウンロードできるようにしました。これがあれば、道徳ワークショップの授業がだれでも簡単にできるようになります。その中でも、「道徳力アンケート」は授業で子どもたちの教材として使えるだけでなく、学校で取り組んでいる道徳科教育の成果検証のエビデンスをとることが可能です。小学校中学年版、小学校高学年版、そして中学校版という3種類のアンケートとそれぞれに対応したレーダーチャート作成ソフトも付けていますのでご利用ください。

―小学校では2018年度より、教科書を使った「特別の教科 道徳」の授業がスタートします。実際に授業を行う際にはどのような点に注意すればよいでしょうか。

 一言でいえば、バランスをとるということですね。これまでのように読み物教材を使った一斉指導を中心とした授業と、読み物教材を使わない道徳ワークショップによる新しい授業を関連付けながらバランスよく実践することが大切です。そのために、新学習指導要領における位置づけも明確に示しましたので、安心して取り組めます。

―最後に全国の小学校・中学校で道徳を教える先生方に一言お願いいたします。

 新しい学習指導要領で、「主体的・対話的で深い学び」という学習方法が提案されました。それを実現するのは、まさに道徳ワークショップです。道徳ワークショップでは教科書の読み物教材を必ずしも使わずに、学級担任が開発する多様な教材を用いて、「考え、議論する」学びを生み出すことが特色になっています。それを可能にする授業アイデアを数多く紹介しましたので参考にしてください。

(構成:木山)
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