著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
子どもから学び、子どもとともに育つ姿勢を忘れずに!
愛知教育大学教育学部教育科学系教授野平 慎二 ほか
2018/3/16 掲載
 今回は野平慎二先生と竹井史先生に、新刊『道徳科サポートBOOKS 道徳授業が不安な先生のための特別の教科道徳入門』について伺いました。

野平 慎二のびら しんじ(通称しん)

愛知教育大学教育学部教育科学系教授。1964年広島生まれ。広島大学、リューネブルク大学(ドイツ)で教育学を学ぶ。琉球大学、富山大学での勤務を経て現職。教育学博士。専門分野は教育哲学、教育思想史、道徳教育論。著書として『ハーバーマスと教育』(世織書房、2007年)、『「特別の教科 道徳」が担うグローバル化時代の道徳教育』(北大路書房、2016年、共著)ほか多数。

竹井 史たけい ひとし(通称びー)

愛知教育大学教育学部創造科学系教授。1959年大阪生まれ。琉球大学、神戸大学、筑波大学で教育学と美術教育を学ぶ。美作女子大学、富山大学での勤務を経て現職。専門分野は美術教育学、幼児の造形・遊び論、図画工作科・美術科教材論。著書として、『資質・能力を育む 新図工科授業づくりのアイデア集』全6巻(明治図書、2007年、共編著)、『まいにちぞうけい115』(メイト、2017年)ほか多数。

―書名に「道徳授業が不安な先生のための」とありますね。道徳の教科化を受け道徳の書籍がたくさんある中で、「不安な先生」向けの本書ならではの特色をぜひ教えてください。

 忙しい学校の先生に気軽に読んでもらえるよう、道徳の授業で大切にしてもらいたいポイントや、教科化で変わるところ/変わらないところを、50のQ&Aでわかりやすく説きました。どこから読んでもかまわない構成と内容になっています。授業づくりのテクニックだけでなく、道徳教育の原理や歴史など、授業の背景をなすものについても、わかりやすく説明しています。

―本書はQ&Aが「しん」先生と「びー」先生の二人の対話形式で進められていますね。「しん」先生はすでに悟りを拓いているような風貌ですが…… お二人はどのような関係なのでしょうか。

 ふっふっふ、それは秘密です(笑)。……まぁ隠すことは何もないのですが、「びー」が富山、「しん」が沖縄にいた頃に、美的な教育という研究テーマのつながりで互いの存在を知り、その後富山大学で、さらには異動先の愛知教育大学でも同僚になりました。どちらかと言えば「しん」は理論から考え、「びー」は経験から考えるという違いはありますが、教育における想像力の大切さの認識では共通しており、互いにとても尊敬しあう仲です。

―現場の先生方からは、実際にどのような不安の声が多いですか? アドバイスも含めて教えてください。

 もっとも多く聞かれるのは、道徳科の評価に関する不安です。まぁ、教科になるのも評価が始まるのも初めてのことなので無理もありません。ただ、詳しくは本書を読んでほしいのですが、道徳科の評価は客観的な到達度を評価するようなものではなく、子どもたちの成長を認めて励ますことが基本です。できるだけ負担を減らし実害(!)もない評価の方針が示されているので、肩の力を抜いて、子どもたちと素直に向き合ってもらえればいいのではないかと思います。

―まもなく新学期、春から初めて道徳を教える先生に、これだけは心がけておいてほしいことなどありましたら、アドバイスをお願いいたします。

 子どもから学び、子どもとともに育つ姿勢を忘れないようにしてほしいと思います。道徳の授業は誰にとっても難しく、うまくいかなくて当たり前、むしろ失敗から学ぶくらいの姿勢のほうが、子どもたちも先生もいい意味で楽に成長していけるでしょう。人は簡単には変えられず、親や先生の願いどおりに育った子どももいません。子ども自身の育つ力を信じつつ、先生自身の自分らしさを示しながら授業に臨むといいのではないでしょうか。

―最後に、全国の先生方へ向け、メッセージをお願いします。

 大人も子どもも、人から「やらされる」ことは面倒で辛いものです。道徳も「教科化されたから仕方なく」と受け止めると苦しくなります。授業の枠組みは変わっても「他人とともによりよく生きる」という道徳の本質は変わりません。道徳の授業は(あるいはそもそも学校教育は)いくらでも先生の専門性を発揮できる自由度の高いものです。やらされる仕事の多い今日の学校現場ですが、本質と自分を見失わないで主体的な授業を展開していってください。

(構成:木村)
特集 「特別の教科 道徳」
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