著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
100のネタ&アイデアで道徳科授業の引き出しを増やそう
國學院大學人間開発学部長田沼 茂紀
2018/2/21 掲載

田沼 茂紀たぬま しげき

新潟県生まれ。上越教育大学大学院学校教育研究科修了。國學院大學人間開発学部長。専攻は道徳教育、教育カリキュラム論。神奈川県川崎市公立学校教諭を経て高知大学教育学部助教授、同学部教授。2009年より國學院大學人間開発学部初等教育学科教授。2017年4月より現職。

― 本書は『道徳科授業のネタ&アイデア100』というタイトル通り、授業ですぐ使えるネタやアイデアが100詰まっています。本書をどのように活用していけばよいか、はじめに教えてください。

 書籍というのは、おおよそにおいて最初の頁から読み進めるというのが定番です。でも、この『道徳科授業のネタ&アイデア100』は日々の道徳科授業にアイデアを生かしてほしいという願いで企画・構成されました。そのようなことから、読者がそれぞれのニーズに即して読みたい頁、必要な頁を開いて活用いただければと思います。ご覧いただけば一目瞭然なのですが、本書は授業経験の浅い先生からベテランの先生まで幅広く活用いただけるよう、豊富な実践事例が満載です。

― 先生は1章の中で、課題探求型道徳科授業への転換というお話もされています。課題探求型道徳科授業とは何か、教えてください。

 子ども一人一人が個別な道徳的学びの経験を学習プロセスに沿って積み重ねていくという発想に立脚したのが、課題探求型道徳科授業です。日常的道徳経験や理解が異なる子どもたちが教材による道徳的追体験をし、個別な視点で協同思考活動を展開していくプロセスで自らの道徳的気づきや共通解としての道徳的価値を共有し、自分事に照らした納得解としての道徳的価値の紡ぎと、さらなる自己課題を探求するといった主体的な課題探求型道徳科学習をイメージしています。

― 2章では、様々なアイデアが紹介されています。例えば、小学校編では「巨大付箋紙を活用した板書」、中学校編では「思考ツールを活用した話し合い」などが掲載されています。いずれもとても面白いアイデアだと感じます。このような引き出しを多くもっていると、授業はどのように変わるのでしょうか?

 従前の道徳科授業では、こういった手法を用いると子どもの道徳的な学びはこのように変化する…といったステレオタイプな指導方法論にウエイトがかかりすぎていました。でも、道徳科授業で何よりも大切にしていかなければならないのは、子どもが自分事として自分なりの学びのスタイルで考えたり、価値に気づいたりすることです。ですから、本書ではその実現のための方法は幾通りも工夫できることをメッセージとして伝えています。

― ところで、4月から小学校はついに「特別の教科 道徳」が全面実施となります。教科書や評価が話題になっていますが、先生はこれからの道徳科授業は、どのように進めていくべきだとお考えですか。

 従前の道徳授業はともすると「はじめに資料ありき」で授業構想されたり、1主題1単位時間でのみで完結するような授業構想であったりしがちでした。でも、そんな細切れの指導で子ども一人一人に確かな道徳性を培ったり、日常生活に敷衍したりできるような道徳的価値理解や価値自覚、道徳的スキル形成が可能なのでしょうか。年間35時間の道徳科授業が各学期や各シーズンの中で相互に関連し合って、相互補完的に作用し合って指導効果を生むような指導計画の在り方をもっと工夫する必要があると思います。

― 最後に、本書を活用して「考え、議論する道徳」を始めよう!という読者の先生方にメッセージをお願いします。

 「考え、議論する道徳」とは、道徳科の特定の学習スタイルを指し示しているわけではありません。子ども一人一人が道徳的な価値の大切さに気づき、それを自分事として深めて考えていくには、何よりもこれまでの自分を問い直す自己内対話が不可欠です。その自己内対話を導き出すためにはそのきっかけとなる互いの「見方・考え方」を引き出し、気づかせる他者対話の場、つまり話合い活動(議論)の場が不可欠です。「考え、議論する」前提は、自分事として学ぼうとする子どもたちの主体性です。

(構成:茅野)
特集 「特別の教科 道徳」
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