著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
学級通信を「武器」にして、生徒・保護者と心の通じ合う学級経営を!
北海道函館市立亀田中学校川端 裕介
2018/2/16 掲載

川端 裕介かわばた ゆうすけ

現在、北海道函館市立亀田中学校に勤務。
1981年札幌市生まれ。北海道教育大学札幌校大学院教育学研究科修了(教育学修士)。
学級通信に関わり、理想教育財団主催の「プリントコミュニケーションひろば」において、第11回に学級通信部門優秀賞、第12回に学級通信部門優良賞、第13回に最優秀賞・理想教育財団賞を受賞。小学館主催の第49回「わたしの教育記録」にて入選。また、社会科教育では平成24年度法教育懸賞論文にて公益社団法人商事法務研究会賞、第64回読売教育賞にて社会科教育部門最優秀賞を受賞。平成29年度からNIEアドバイザーを務める。

―先生は、毎週発行の学級通信を柱にした学級経営を実践されており、本書でも「学級通信は教師としての最大の武器」と述べられています。学級通信に力を入れることで、どのような効果があるのでしょうか。

 最大の効果は、学級経営の可視化です。学級通信は、生徒と保護者の手元に記録として残ります。生徒個人や学級の成長の姿を、定期的に文字と写真でまとめて示すことができるのは、学級通信だけです。
 また、学級担任としての思い経営方針を明確に伝える効果もあります。教師側にとっても、通信の編集と執筆を通して、学級経営を定期的に振り返り、改善のヒントをつかむことができるという良さがあります。

―本書に掲載されている先生の学級通信を見ると、どれも見出しや写真が工夫されていて、本物の新聞にも負けない出来栄えのものばかりですね。このような、心に残る紙面や記事をつくるために、最も意識されているポイントとは何でしょうか? また実際に、通信作成の参考にされているものはありますか?

 最も意識しているのは、魅力の顕在化です。生徒自身も気づいていないような輝きを見つけて紙面に取り上げることで、読み手である生徒や保護者、他の先生方が感動する作品を目指しています。そのために、学級の生徒と接する時間を長くし、生徒理解を深めるように心がけています。
 また、参考にしているものとしては、学級通信のコンクールにおける入賞作品などがあります。他にも、見出しについては新聞の見出しをまねることもありますし、レイアウトやデザイン、写真の構図などは雑誌やポスターも参考にします。

―とはいえ、ただでさえ忙しい日々の仕事をこなしながら、継続して学級通信を発行していくことに負担を感じる先生方も多いのではと思います。通信の質を保ちながら、毎週発行できる秘訣とはズバリ、何でしょうか。

 計画性がポイントだと考えます。詳細は本書で触れていますが、年度当初に通信の計画を立てると、先の見通しをもって発行することができます。計画を生徒や保護者に明示することで、「有言実行」しなければいけないと、発行への責任感が高まります。
 また、記事の「ネタ」探しも必要なので、生徒とのやり取りや教室で見聞きしたことの中で、通信に紹介できることがないか考えたり、生徒会活動や部活動を「取材」したりしています。

―本書の実例の中には、保護者のコメントを掲載した「保護者参加型」の学級通信も多数あります。保護者を巻き込んだ通信づくり、学級づくりを行うためのポイントをぜひ教えてください。

 まずは、通信を確実に読んでもらうことが大切です。多忙な保護者が思わず目を通したくなるような紙面を心がけています。中学生の保護者は、小学校時代から数年にわたって学級通信を読み続けている、目の肥えた読者です。最初の数号で「この先生の出す通信は、ひと味ちがう」と思ってもらうことを目指しています。その上で、読者である保護者にも学級経営や生徒に関する意見を寄せてもらうように、機会を見てお願いしています。学級通信の「ファン」になってくれると、協力をしてもらいやすくなります。

―最後に、全国の先生方に一言、お願いいたします。

 私が学級通信に力を入れるようになってから、わずか5年しかたっていません。かつて、学級通信が生徒の机でくしゃくしゃになっていたこともありました。しかし、今では、生徒は真剣なまなざしで通信を読み、保護者は発行を心待ちにしてくれます。学級通信を工夫すると、生徒や保護者と心が通じ合ったと実感できる機会が、確実に増加します。学級経営に何らかの悩みを抱えている先生こそ、本書を手に取っていただければと思います。きっと、解決の糸口が見えるはずです。

(構成:大江)
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