著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
指導者が学び続け、生徒たちに最高の合唱指導をしよう!
合唱指揮者黒川 和伸
2017/7/21 掲載
 今回は黒川和伸先生に、新刊『中学校音楽サポートBOOKS 超一流の指揮者がやさしく書いた合唱指導の本』について伺いました。

黒川 和伸くろかわ かずのぶ

 合唱指揮者。1979年生まれ。千葉県出身。市川市立南行徳中学校合唱部での田中安茂氏との邂逅により合唱を始める。千葉大学教育学部音楽科,および東京藝術大学音楽学部声楽科卒業。東京藝術大学大学院修士課程(音楽教育専攻)修了。音楽教育を佐野靖,声楽を多田羅迪夫,福島明也,指揮法を高階正光,樋本英一,ボイストレーニングを永田孝志の各氏に師事。

―本書の内容について、簡単にご紹介ください。

 本書は現在学校現場で合唱指導をしている、またはすることになった先生方が、合唱指導についての基礎知識、及び具体的な実践法を、この本一冊で学ぶことができるようになっています。
 同時に、本書の内容は学校現場での合唱指導にとどまらず、おかあさんコーラスなど、アマチュアコーラス全般の合唱指導に応用することができる内容になっています。
 また、「合唱指導者が知っているべきこと」というのは、同時に「合唱団員が知っているべきこと」と当然ながら範囲が重なっているので、広くアマチュア合唱団員の方にも読んでいただきたい内容になっています。

―本書では項目別に指導のポイントをご解説いただいていますが、ここだけは外せない!という点をお教えください。

 本書で一番強調したかったのは、「合唱はよくも悪くも指導者次第で変わってしまう」という点です。大人でもそうですが、特にティーンの合唱団は、よくなるのも悪くなるのも指導者次第です。一方、合唱指導に最低限必要なのは本人のやる気と熱意くらいで、あとは継続的な知識の吸収と実践あるのみです。この本を利用して知識を身につけて、あとはどんどん実践してほしいと思います。

―「恥ずかしさのカベ」と本書の中でおっしゃっていますが、声を出さなかったり、意欲が低かったりする子どもへの具体的な手立てとして、どのようなものがあるでしょうか。

 子どもたちは当然ながら一人ひとり違うので、一様な手立てはなく、一人ひとりとコミュニケーションをとることが一番大切だと思います。そのうえで自分が指導するときに大切にしていることは、小さな成功体験を積ませてあげることです。
 例えば、発声指導などでよい声を出したら「あなたはよい声をしているね」と、すかさず褒めるようにしています。

―今年も合唱コンクールの時期が近づいてきましたが、指導者にとって一番大切なこととは、どんなことでしょうか。

 「過程にはこだわるが、結果に一喜一憂しない」ということだと思います。指導者にできることは、合唱コンクールで自分のクラスや部活が賞を取れるかを心配することではなく、指導者が学び続け、目の前の生徒たちに、技術面でもコミュニケーションの面でも、常に最高の指導を行うことだけだと考えています。

―最後に、読者の先生方へメッセージをお願いいたします。

 僕の好きな言葉に「人生、誰でも今日が一番若い」という言葉があります。何かを学び始めるとき、先延ばしせず、今始めれば、明日の自分が変わります。そして、今始めることが、未来の自分の教え子たちへの指導の手助けになると信じています。この本を手に取ってくださり、新たな学びを得ようとするすべての方を、心から応援しています。  

(構成:赤木)
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