著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
読み書きが苦手な子もイキイキ 唱えて覚える漢字指導法
道村 静江
2017/7/7 掲載
  • 著者インタビュー
  • 特別支援教育
  • コメント(0)
今回は道村静江先生に、新刊『読み書きが苦手な子もイキイキ 唱えて覚える漢字指導法』について伺いました。

道村 静江みちむら しずえ

1955年、福井県生まれ。
中学校理科教諭として、福井県立盲学校・横浜市立盲学校に通算18年、市立中学校に3年勤務。小学校教諭として、横浜市立盲学校に10年、市立小学校に4年勤務。この間に『視覚障害者の漢字学習』の冊子シリーズ、『道村式漢字カード』などを継続的に発行。2002年に「点字学習を支援する会」を設立して、視覚障害者用教材を提供し続けている。退職後、ユニバーサルデザインの学習法として『道村式漢字カード』を活用した漢字指導の改善・普及に力を入れ、全国各地で講演活動を行っている。

―道村先生は漢字指導博士とお呼びしてよいほど、漢字指導を研究しつくしてこられたとか。先生はなぜこんなにも漢字指導にうちこまれてきたのですか?

 盲学校に長く勤めていまして、全盲の子たちが音声パソコンを使いたくても漢字の知識がないためにとても困っていました。そこで、漢字を見たことも書いたこともない子たちでも楽しく漢字を学べるような資料を作ろうと取り組みました。作り続けていくうちに、漢字の面白さや楽しさ、言葉の意味がわかっていくことに、子どもたちは目を輝かせ楽しそうに学んでくれました。小学1年から中学校までを完成させるのに15年かかりましたが、その中で、漢字学習の本質を突く方法を見いだし、研究に一層拍車がかかりました。

―「書けなくても読めればよい」「トメハネハライは気にしなくていい」…とおっしゃりつつ、漢字指導に力を入れられる先生。生きた漢字の力とは何だとお考えですか?

 学校では書き指導に重点が置かれすぎていて、細かいことを言い過ぎだと思います。漢字を系統的に調べた結果、一字毎に細かいことを言わなくても、規則性や組み合わせの本質をとらえれば、それらは一気に解決します。先生は子どもたちを漢字嫌いにさせています。子どもたちが「漢字は楽しくておもしろい!」と感じれば、自然と学ぶ意欲にあふれてきます。「わかった!できた!」が増えます。漢字は単純で大切な基礎学習です。そこから学びの第一歩を始めさせてあげたいです。そして、一生使う漢字から離れさせてはいけないのです。

―先生は読み書きが苦手な子どもを含め、通常の学級のどの子も巻き込む楽しい指導をされていますがそのアイデアを1つ、おすすめのものを本書から、簡単に紹介してください。

 私は 「漢字学習を個人のレベルにしておかない」ということをモットーにして取り組んできました。漢字は友達同士で唱えながら楽しみながら学び合えるコミュニケーションツールなのです。クラスみんなで唱える、班で苦手な子をサポートしながら助け合う、協力し合って競い合う。先生のしかけ方一つで盛り上がる学習方法になります。苦手だった子に頑張る姿が生まれます。それを喜ぶ友達の輪ができます。そんな活動で盛り上がったクラスは学習に勢いがつきます。学習に伸び悩んでいた子たちが復活します。先生たちにはそんな「しかけ」をどんどん考えてほしいです。

―「唱えて覚える」ために先生は特別の教材を作られていると聞きましたが、それはどんな教材なのでしょうか?どのように販売されているのですか?

 『視覚障害者の漢字学習』冊子を作る中で編み出した二つの学習法、「部品の組み合わせ」と「音訓セットの漢字のタイトル」で単漢字の読み書きがクリアできます。それを小中学校で学ぶ常用漢字2136字に盛り込んだ『道村式漢字カード』を作りました。漢字の部分全てを口で言えるようにしてありますし、音読みの習得に必要な要素を盛り込んだものです。販売は業者を通すと高くなるので、安価な提供をと思って自宅から発送しています。その事務作業に日々追われていて負担に感じながらも、この漢字学習法が広がっているのを実感できて、がんばり甲斐があります。
*ご注文はこちらまで 
「点字学習を支援する会&道村式漢字学習法」

―ありがとうございました。最後に、苦手さのある子含めて漢字の指導に頑張られている先生にメッセージをお願いいたします。

 読み書きが苦手な子たちに定番のやり方を押しつけるのではなく、なぜ覚えられないのか、なぜ書けないのかの原因を探ることをしてもらいたいと思います。それにはよく観察して、その子の理解度や思考回路を知り、その子に合った指導を行ってほしいです。細かいことを言わないおおらかな指導を心がけ、パフォーマンスたっぷりに一緒に楽しんでほしいです。漢字学習の真の目的は「漢字が使えるようになること、語彙を増やすこと」です。そんな指導のヒントも本書にたくさん書きました。書かせるだけの指導から脱却を図ってほしいです。

(構成:佐藤)
コメントを投稿する

※コメント内ではHTMLのタグ等は使用できません。