著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
発達に遅れや偏りがある子のための国語ワーク
発達支援教室ビリーブ代表加藤 博之
2017/5/18 掲載
  • 著者インタビュー
  • 特別支援教育

加藤 博之かとう ひろゆき

筑波大学大学院教育研究科修了。埼玉県内の小学校・特別支援学校及び昭和音楽大学の専任教員を経て、現在、発達支援教室ビリーブ代表。文教大学非常勤講師。学校心理士。ガイダンスカウンセラー。認定音楽療法士。

―本書は『学びと育ちのサポートワーク』のシリーズの6巻『「書く力、伝える力」実力アップ編』として刊行されていますが、本書のねらいをどうぞ教えてください。

 本書は国語力全般の力を高めることを目的としています。国語力と言っても、幅広い領域が考えられますが、支援を必要とする子どもたちの多くに「文章読解力」と「文章表現力」でつまずきが見られます。それは、語彙力や読み書き力、助詞や動詞の使い方などが十分でないことが要因です。その根底にあるものとして、圧倒的な経験不足が考えられます。また、本を読む機会が少なく、そこから生じる知識不足は新しいものへの興味関心の薄さにもつながってきます。それらの改善のため、本ワークをきっかけに読み書きの習慣化を図ることを目的としています。

―特に本書では「子どもの興味を広げること」「自分の思いを相手に伝えられるようになること」を大切にされているように感じましたが、どうしてそれらは大切なのでしょうか?

 発達に遅れのある子と定型発達の子の違いの1つに「興味の広がり」が挙げられます。興味が弱ければ、後々得られるものに大きな差が生じてきます。そのため、指導者は子どもの好きな領域を把握し、そこから徐々に興味を広げていく必要があります。「自分の思いを伝えること」については、 自分の考えをまとめて話すことで「発言力」や「作文力」はもちろんのこと、自分の気持ちをコントロールする力も身につけることが可能です。このように、学習面を育てながら、同時に情緒面などの発達を促すことができるわけです。

―先生は本書で紹介くださっているワークを子どもたちの学習で実際に活用されていますが、学習場面での子どもの様子などエピソードがあれば教えていただけないでしょうか。

 子どもたちはワークをいろいろな形で使用しています。自分の苦手なところを補うという使い方もありますが、多くは気に入ったところからどんどん先に進めています。得意分野を持てば、そこから徐々に広がりを見せ、苦手を克服することになっていきます。例えば、漢字が好きな子が漢字検定に挑戦したり、絵が得意な子が自ら描いた絵について楽しそうに説明したりするケースが見られます。このように、どの子もワークを自分独自のスタイルで活用しているのです。

―本書のワークでは解説部分にワークだけで完結するのではなく関連してどんな活動を行うとよいかも示してくださっていますが、その例を1つ紹介いただけないでしょうか。

 例えば「ストーリーを考えよう」では、4コマ漫画の3番目と4番目について、他児と発表し合いながら、いろいろな展開形を提案することができます。その際、相手の話を聞いて理解したり、相手にわかりやすく説明したりすることで、国語力のみならず、コミュニケーション力も身につけることが可能です。このように、本ワークはそれ自体が完結型ではなく、子どもたちが柔軟な思考力を身につけるための「きっかけ作り」として活用できるものとなっています。

―最後に、発達の遅れや偏りがある子への指導にかかわる先生にメッセージをお願いします。

 子どもを育てるためには、まずは的確なアセスメントを行い、それに基づき、その子に合った課題を 楽しい雰囲気の中で提供することが大切です。そのため、もし指導がうまくいかないときは、アセスメントは十分か、課題は合っているか、学習場面は楽しく設定されているか、と自分に問いかければよいわけです。中でも多くの先生方が悩まれるのは子どもに提供する課題の量と質、すなわち授業のネタと言われるものです。このネタの数を増やすためには、いろいろなタイプの子どもから学んだ指導法を1つ1つ積み上げていくしかありません。本書のワークを活用していただければ幸いです。

(構成:佐藤)

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