著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
能動的な学習の導入に最適な活動が満載!
上越教育大学教職大学院教授赤坂 真二
2017/4/6 掲載
今回は赤坂真二先生に、新刊『クラスを最高の雰囲気にする!目的別学級&授業アイスブレイク50』について伺いました。

赤坂 真二あかさか しんじ

1965年新潟県生まれ。上越教育大学教職大学院教授。学校心理士。「現場の教師を元気にしたい」と願い、研修や講演を実施して全国行脚。19年間の小学校勤務では、アドラー心理学的アプローチの学級経営に取り組み、子どものやる気と自信を高める学級づくりについて実証的な研究を進めてきた。2008年4月から、より多くの子どもたちがやる気と元気を持てるようにと、情熱と意欲あふれる教員を育てるために現職に就任する。主な著書に『スペシャリスト直伝!学級を最高のチームにする極意』 、『スペシャリスト直伝!学級づくり成功の極意』、『クラスを最高の雰囲気にする!目的別学級ゲーム&ワーク50』『クラスを最高の雰囲気にする!目的別朝の会・帰りの会アクティビティ50』(以上、明治図書)などがある。

―「クラスを最高の雰囲気にする!」シリーズも3冊目となりました。本書では「アイスブレイク」で使える50の活動が紹介されていますが、アイスブレイクとはどのような活動なのでしょうか。また他2冊との違いを教えてください。

 人と人との出会いは、不安や緊張が伴うものです。本書で言うアイスブレイクとは、そんな固い雰囲気をほぐしたり和らげたりする活動のことを言います。これまでの2冊(『クラスを最高の雰囲気にする! 目的別学級ゲーム&ワーク50』『クラスを最高の雰囲気にする! 目的別朝の会・帰りの会アクティビティ50』)では、主に学級活動の時間に実施するのに適した一単位時間を使う活動や逆に朝の会や帰りの会で実施するのに適した5分〜10分程度でできる活動を紹介してきました。今回は、授業などの導入などで使える教科指導につながる活動集となっています。

―先日、新学習指導要領が告示されました。アクティブ・ラーニング(AL)の視点を取り入れた「主体的・対話的で深い学び」を実現するために、本書の活動はどのように活用できるでしょうか。

 アクティブ・ラーニングの視点を取り入れた授業は、子どもたちが交流によって問題解決をするような場面が想定されます。そのとき、固い雰囲気では学習に取り組みにくいです。そんなときに、短時間でも導入時に、おしゃべりや簡単なゲームを取り入れた活動を実施することで雰囲気がほぐれ、活動に入りやすくなる効果が期待できます。

―理論編ともいえる序章では、子どもたちの発達段階に合わせた学級の雰囲気づくりの重要性が解説されています。学級づくりで押さえたい段階別の雰囲気にはどのようなものがあるのでしょうか。

 人は確たる信念や考えで行動することより、他者の言っていることを耳にしたり、ふるまいを見たりして行動する傾向があるという研究結果があります。人の行動は雰囲気に強く影響されるということは昔から言われることですが、研究によっても裏付けられている事実だということです。本シリーズで示してきた@安心、Aかかわろうとする、Bルールやマナーを守る、Cあたたかな結びつき、D自分たちで問題を解決する、の5つの雰囲気は、これもこれまでの研究から見出された学級集団の発達段階に基づき設定されています。これらの雰囲気をつくることによって、無理なく、学級集団の成長を促していくことができます。

―第1〜5章では5つの雰囲気に合わせた50の活動を紹介しています。適切な発達段階を見極めて実際に活動していく際のコツを教えてください。

 具体的な活動を見ていただければおわかりのように、多くの活動がバディ(2人組)を基盤にしています。学級の発達段階は、1人の子に焦点を当てて見たときに、その子がどれくらいのバディとスムーズに活動できるかということがひとつの指標になります。バディを組める子が、多くなるほど上位の発達段階に成長していると考えられます。まだ、バディが1人か2人の子がほとんどの場合は、@安心の雰囲気、また、ほぼ全員とバディを組むことができるならばCのあたたかな結びつきの雰囲気の段階です。Aのかかわろうとする雰囲気Bのルールやマナーを守る雰囲気の段階は、@とCの間となります。また、Dの自分たちで問題を解決する雰囲気の段階は、ほとんどの子がどの子ともバディを組める状態になったときに実現可能だと言えます。

―最後に、全国の先生方にメッセージをお願いします。

 本シリーズでは、「雰囲気を制する教師が、学級集団づくりを制す」と主張してきました。これまで多くの教室の子どもたちの笑顔や、いきいきした生活を創り出すことに寄与してきました。本書が、皆さんの授業を活性化するために活用されることを心から願っております。

(構成:木山)
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