著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
新作モラルジレンマ教材で、考え、議論する道徳をはじめましょう!
日本道徳性発達実践学会理事長荒木 紀幸
2017/2/1 掲載

荒木 紀幸あらき のりゆき

大阪府に生まれる
1968年 同志社大学大学院博士課程心理学専攻中退
現在 日本道徳性発達実践学会理事長、兵庫教育大学名誉教授 博士(心理学)

―本書はベストセラーとなった『モラルジレンマ資料と授業展開』の第3集的位置づけになる1冊です。2005年に第2集が出て以来、約10年ぶりの発刊となりましたが、今回発刊に至った経緯を教えてください。

 この間に「道徳の教科化」や「学習指導要領改訂」、文科省による「私たちの道徳」の出版などの大きな変化が続きました。その都度、私たちは『モラルジレンマ教材でする白熱討論の授業』『考える道徳を創る「私たちの道徳」教材別ワークシート集』等を表し、道徳性の発達段階説の考え方、モラルジレンマ授業の有効性などを説いてきました。本格的に「考える道徳」「議論する道徳」への移行が行われた今、この一翼を担うために今回の出版に至りました。

―「特別の教科 道徳」では、「読む道徳」から「考え、議論する道徳」への転換が叫ばれています。モラルジレンマ授業は、転換が叫ばれる前から、議論する道徳を行ってきたように感じます。あらためてモラルジレンマ教材やモラルジレンマ教材を生かした道徳授業の魅力を教えていただけますか。

 なんと言っても、この授業の魅力は、子どもの道徳心を刺激し、子どもたちを道徳的に目覚めさせます。そして道徳的感受性を育て、ひいては道徳的自律をもたらすことにあると考えます。また民主主義を基底にした対話や傾聴を重視した授業方法は子どもたちの自尊感情を育てる上でも大きな力になってくれることです。

―今回、新しい教材がたくさん掲載をされています。いずれも魅力的で選ぶのは難しいと思いますが、特に実践してほしいおススメの教材はございますか。

 それは難しい。みんなオススメです。あえて言うならば、身近な動物が出てくる「おたんじょうかい、だれをよぼうかな」「とうもろこしができた」「どんぐりはだれのもの?」などは低学年の子どもたちを夢中にさせるでしょう。高学年からは事実に基づいて人の生き方を問う「氷上のFI ボブスレー」「どうする?『あかつき』チーム」「マルクス=レーム 義足のスーパーアスリート」「夢のリンゴ作り」「最後の酸素ボンベ」「ショーン・オキーフNASA長官の決断」「もうひとつの苦しみ」「トランジット・ビザ」「オザル首相の決断」などはオススメです。

―本書を読んで、モラルジレンマ教材をつくってみたい…という読者の方もいらっしゃるかもしれません。モラルジレンマ教材をつくる際のコツや留意点を教えてください。

 誰だって判断に迷って困った経験をいくつもお持ちです。そんな迷いの中で特に印象深かった1つを思いだして、肉づけされたらいかがでしょうか?このシリーズの第2集であげた資料づくりの原則が参考になります。【1】話は単純にする、【2】オープンエンドとする、【3】道徳的な意味で2つ以上の論点を含める、例えば、「正直であることが常に正しいか」「約束はなぜ守らないといけないか」、【4】「主人公は何をすべきか(当為)」などが留意点です。

―最後に、本書の資料を活用して「道徳授業に取り組もう!」という読者の方にメッセージをお願いします。

 ぜひ、挑戦してください。子どもたちがしっかりとモラルジレンマを受け止めると、主人公はどうすべきか、人としてどうあるべきかと答え探しを真剣に始めます。先生の焦りは禁物です。まずジレンマを共通理解させ、それからじっくり時間をかけて話し合いをさせます。そのためには、先生方は日頃から公正と正義を重んじ、思いやりを大切にする学級風土を心がけ、学級が「私たちのもの、みんなのもの」という意識を子どもたちにもたせましょう。

(構成:茅野)
特集 「特別の教科 道徳」
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