著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
脱・初心者を目指そう!授業力を高めて主体的・対話的に学ぶクラスをつくる
静岡教育サークル「シリウス」戸塚健太郎ほか
2016/9/22 掲載
 今回は執筆者を代表して、戸塚健太郎先生と森竹高裕先生に、新刊『進んで学ぶ子どもが育つ! 授業づくりメソッド&アイデア事典』について伺いました。

静岡教育サークル「シリウス」

1984年創立。「理論より実践」「具体的な子どもの事実」「小さな事実から大きな結論を導かない」これらがサークルの主な柱です。自分の実践を語る場がある、聞いてくれる仲間がいるというのはすばらしいことです。同じ志をもつ仲間がそこにはいます。

―学校生活の大半を占めるのが「授業」です。ということで、シリーズ最新刊の本書では、授業づくりについて、アイデアをおまとめいただきました。本書では、「メソッド」(方法・方式)という形でお示しをいただいていますが、どのような意図で編まれていますか。

 「教師は授業で勝負」なのですが、現状では教師の全体の仕事量に対して授業に向き合う時間はけっして多くはありません。そこで楽しく、身につく授業のアイデアを提案しました。人によってはこのような本を活用することはインスタントの授業で実際の子どもを見ていないと言う方もいます。しかし、まずはいろいろな授業方法の切り口を知り、自分の引き出しを増やし、現状の子どもに合わせそれをどう組み立てるかが大切なのではないでしょうか。この本によって先生方の授業の引き出しが充実できればと思います。
 

―本書に収録くださった具体的なメソッドについても、ぜひ教えてください。

 子どもが喜び、生き生きと授業に取り組むメソッドを洗い出してみると、全部で6つありました。キーワードは「具体物」「思考」「体験」「仲間」「表現」「ゲーム化」です。子どもたちが「楽しかった」というときには、これらのメソッドをうまく授業に取り入れているはずです。各メソッドをさらに細かく分類し、本書では53の方法を紹介しています。もくじを眺めていただくと、どんなときに、子どもが喜び、生き生きと取り組むか見えてくると思います。

―本書でご紹介いただいているアイデアは、どれもみなお勧めかとは思うのですが、中でもとりわけお勧めの、子どもたちが夢中になって取り組んだものがあれば、教えてください。

 う〜ん、難しいですね。どれも一押しですが、あえて3つあげるとすれば、

・昔の道具を使ってみよう【3年・社会】(p.100) 
…七輪でサンマを焼いて食べました。楽しい活動とともに、昔の道具の苦労を実感することで、技術を高めて暮らしを変化させてきたことに気づきました。
・見て触って体験させよう【5年・社会】(p.44) 
…自動車を丸ごと1台分解しました。社会科見学の前に行うことで、いろいろと具体的な疑問・質問を持った状態で見学に行くことができました。
・オリジナル漢字を作ろう【3年・国語】(p.148) 
…好きな部首と旁を組み合わせることで、クイズみたいな新しい漢字ができました。自然と部首の意味について深く調べることにつながります。

 どれも、子どもたちが、本気で取り組み、楽しみながら理解を深めた授業です。

―インタビューの冒頭でもおっしゃられているように、これまでのシリーズと少し違って、掲載されているアイデアをそのままやる、というのではなく、アイデアを噛み砕いて目の前の子どもたちに最適な形で提供することがより一層求められている、というのが本書の特徴です。これは授業の力量をあげるためには欠かせないことですね。

 授業は生ものです。授業する先生も生徒も一人一人違います。学校の雰囲気も地域によってだいぶ違います。また単元に取り組む時期によっても子どもの受け取り方、発言の仕方は違います。ですからそれに合わせて教師は発問の仕方、教材の提示の仕方を工夫するべきです。本書で取り上げているものは授業を楽しく効果的に行うためのアイデアに過ぎません。アイデアを素材のまま使った方がいいのか、料理して使った方がいいのかをぜひ考えてみてください。アレンジすることは結構楽しいことです。

―最後に、新しい学期を迎えて子どもたちの積極性をもっと高めていきたいとお考えの読者の先生方や、より一層楽しい授業をしたいとお考えの読者の先生方に向けてメッセージをお願いします!

 子どもたちに、授業の楽しさ、仲間と学ぶすばらしさを感じてほしいと日々願っています。「今日の授業は楽しかった」「うちらの組って、いいよね」という声が聞かれたとき、子どもの弾けるような笑顔が見られたときは、それは何にも代えがたい報酬です。目の前の子どもをよく見て、自分に合った方法で、子どもに誠実に向き合うとき、こうしたすばらしい場面に出会えるのだと思います。本書が、その一助になれば、こんなに嬉しいことはありません。

(構成:林)

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