著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
子どもの成長のために、「言語活動の充実」に取り組もう!
岐阜聖徳学園大学教授鈴木 明裕
2016/8/2 掲載

鈴木 明裕すずき あきひろ

岐阜聖徳学園大学教授
1959年 愛知県生まれ
愛知教育大学大学院数学教育専攻修了

―本書の構成について、簡単にお教えください。

 2章構成としました。1章では、「言語活動の充実」を考えるポイントとして、経緯を簡単に振り返り、それを踏まえて指導のポイントとして10項目を提案しました。10項目は、授業の計画の段階から、授業中、授業後の生徒への評価問題、教師の自己評価・研鑚までを取り上げました。2章では、その実際として、1年から3年まで授業例を示しました。その内容は、授業の目標、教材について、言語活動充実のポイント、授業展開例、評価問題です。

―本書は平成20年の学習指導要領において重視されている「言語活動の充実」をテーマにしていますが、鈴木先生は本書の中で、「『言語活動の充実』は、一時の流行ではなく、不易となるべき」とおっしゃっています。言語活動を充実させることで、子どもや授業はどのように変わるのでしょうか。

 数学自体が言語活動であるという側面をもっていますし、言語活動のない授業というものも存在しないでしょう。しかし、その言語活動が数学の学習指導として価値あるものとなっているかが問われていると考えます。「言語活動の充実」は目的ではなく、思考力、判断力、表現力等の育成を行うための手立てとして、「言語活動の充実」に取り組むという意図が大切であると考えています。子どもの成長のために行うものです。

―ペア・グループ学習を行ううえで、数学の得意な子と苦手な子が固定化してしまったり、授業の内容と関係のない雑談が多くなったりしないためには、教師はどのような点に気を付ければよいでしょうか。

 ペア・グループ学習を行う場合も、どういう目的で、どのような子どもの姿を想定して実施するかが大切です。学生の教育実習で子どもが「野放し状態」になっていることを見かけます。どこで学んだのか手法だけを取り入れ、目的やその後の見通しがないままに行えば、ペア・グループ学習がうまくいかないのは当然の結果です。
 ペア・グループ学習を行うだけの学習環境を整えているかということも、重要なポイントになります。子どもたちが対等で、「わからない」ということができる、相手にわかってもらえるように努める、といった学習環境です。

―本書の中で挙げられている「指導のための10のポイント」の1つである、「教師が明確な意図並びに学習指導計画をもつ」について、「言語活動の充実」を学習指導計画に位置付けるのに適した場面とは、具体的にどのような場面が挙げられるでしょうか。

 「言語活動の充実」というと、全体解決(練り上げ)の場面がよく取り上げられます。もちろん、全体解決(練り上げ)の場面は、「言語活動の充実」を図る重要な場面です。しかし、授業を問題解決の形でとらえたなら、疑問や問いの発生、定式化による問題設定、問題の理解、解決の計画、実行、検討及び新たな疑問や問い、推測などの発生と問題の定式化のすべての場面で行われるものであり、位置付けることが可能な場面と考えています。

―最後に、読者の先生方へメッセージをお願いいたします。

 本書を書いているとき、多くの生徒の顔が浮かびました。彼がこうしたな、彼女ならこうするかもしれない。私はいくつか異なる環境の中学校を経験しました。一方の中学校ではうまくいくだろうが、他方では修正しなければいけないということも書いています。
 本書は、1つの提案です。だから、今、目の前の生徒のためによりよいものは何だろうと考えて、批判的に、建設的に、お読みいただくことを強く願っています。先生方の授業実践の一助となれば、幸いです。

(構成:赤木)
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