著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
アクティブ・ラーニングの視点を取り入れた効果的なペア・グループ学習とは?
東京学芸大学准教授細川 太輔
2016/5/25 掲載

細川 太輔ほそかわ たいすけ

1978年東京都生まれ。東京学芸大学准教授。東京大学教育学部卒業、東京学芸大学連合大学院修了。教育学博士。私立小学校教諭、東京学芸大学附属小金井小学校教諭、東京学芸大学講師を経て、現職。主な著書に『「書くこと」の言語活動25の方略』(代表編者、教育出版 )などがある。

―本書では国語授業での効果的なペア・グループ学習をあらゆる角度から紹介しています。理論編、準備編、実践編に分かれていますが、それぞれどのような内容で構成されていますか?

 理論編では、なぜ学び合いが必要なのか、その背景を説明しています。準備編ではその背景を理解していただいた上で、学び合いを組織する上で重要なポイントを具体的にまとめています。そして実践編では授業の中で学び合いをどう位置づけるのかを示しました。ご自分の関心のあるところからお読みいただけるようになっています。

―本書は小学校国語科でのグループ学習や学び合いの授業づくりをテーマにした初めての書籍です。学び合いを取り入れることで、授業や子どもたちはどのように変わるでしょうか?

 学び合いを授業に取り入れる目的は3つあります。1つ目は国語科の指導事項をしっかり身に付けることです。2つ目は学び合う力を付けることです。現代社会では1人で仕事をすることは少なく、協働的に取り組む能力の育成が求められていますが、その力を身に付けることができます。3つ目は主体的に学ぶ態度を付けることです。教師に答えを教えてもらうのではなく、自分たちで学ぼうという態度を育てることができます。

―一斉授業と違い、ぺア・グループ学習はうまくいかないという声を耳にすることも多いのですが、成功の秘訣はズバリ何でしょうか?

 ペア・グループ学習では子どもをコントロールすることは困難です。ですので、教師は子どもを信じて子どもが学び合いたくなるようなしかけを作っていくことが重要です。例えば、子どもが夢中になるような言語活動、子どもが学び合いやすくなるような思考可視化ツール、学び合いが効果的になる人数や構成などを工夫していくことが重要です。

―本書の3章は学年別の事例集になっていますが、この部分はどのように活用してほしいと思いますか?

 まず、ご自分の担当している学年の事例を読んでいただきたいと思います。そこで示されている事例はどれも必ずできる授業です。事例をそのまま授業をするのではなく、ご自分の授業の中に本書で示した学び合いのアイデアを少しずつ取り入れて実践してください。

―最後に全国で国語授業の改善を目指す先生方に一言メッセージをお願いいたします。

 大切なのは子どもを信じることです。子どもたちは本来学び合いたいと思っています。その意欲を引き出せば学び合いは自然と成立するようになります。教師から知識を授けるだけの授業ではなく、子どもが主体的に学び合う授業をつくっていただきたいと強く願っています。

(構成:木山)
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