著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
仕掛けいっぱいのネタ集で、作文大好きっ子を育てよう!
山口県下関市立吉見小学校教諭福山 憲市
2016/6/3 掲載
今回は福山憲市先生に、新刊『全員が喜んで書く! 作文指導のネタ事典』について伺いました。

福山 憲市ふくやま けんいち

1960年山口県下関市生まれ。広島大学卒業。山口県下関市立吉見小学校教諭。
現在、「ふくの会」というサークルを31年継続。
「ミスをいかす子ども達を育てる研究会」も組織し、ミス退治運動を進行中。

―本書は、『全員が喜んで書く! 作文指導のネタ事典』という書名のとおり、合計76もの作文ネタが収録されています。どれも魅力的で、子どもが楽しんで書きたくなるネタだと思いますが、あえて「特におすすめ!」というものを挙げるならば、どのネタでしょうか。

 「学んだことを喜んで書き残すネタ」では中学年の「街中のものからじっくり発見作文」、「分析を楽しむネタ」では高学年の「コマーシャルの言葉分析作文」、「創造・挑戦して書くことを楽しむネタ」では低学年の「○○の○○作文」です。どの作文ワークに挑戦させた時も、子ども達が次々と作文にしたい新しいネタを考えて、作文ブームを巻き起こすきっかけとなったものです。

―本書は、ただの作文ネタ集ではなく、4つの仕掛けと1つの大仕掛けが組み込まれています。本書にも書かれていますが、仕掛けについて、詳しく教えていただけますでしょうか。

 4つの仕掛けは「1 何度でも使用可能な作文ネタ」「2 気軽に使える作文ワーク」「3 手本になる作文例」「4 作文を書かせる時の様子をイメージしやすい作文指導のポイント」です。そして大仕掛けは「徹底的に褒める声かけ(コメント)とおしいの一言」です。これらの仕掛けは、「作文なんてきらーい!」と言っていた子ども達が、少しずつ「作文を書くって、意外に面白い!」と言い始めた頃に取り組んでいたものをまとめたものです。

―非常に魅力的な作文ネタの数々ですが、先生は、これらの作文を、いつ、どんなタイミングで書かせているのか教えてください。

 書かせる場は「学年」「作文ネタ」によって違います。低学年や中学年の場合は、授業中に書かせることが多いです。5分でも10分でも全員で書いて読み合う、そんな場面を多くつくっています。友達の作文が、作文を書く意欲につながることが多いからです。高学年の場合は作文を書くポイントだけ話して、家で書かせることが多いです。もちろん、書いてきた作文を紹介し合う場を「授業中・朝学・夕学・掲示物」などに用意しています。

―本書には、子どもの作文例も掲載されています。「1学期は作文嫌いだった子どもが、作文好きに変わった!」そんなエピソードがありましたら、教えてください。

 Q1で紹介した高学年の「コマーシャルの言葉分析作文」。これにはまった子がいます。テレビを見るのが大好きな子でした。この作文ネタを紹介した途端、テレビを見る時には必ずメモ帳を用意しておいて、コマーシャルが流れると全て記録。その記録をもとに、コマーシャル分析作文を書き続けました。書いてきた作文に「ここをもう少し分析するともっと面白いよ」と言うと、さらにはまってしまい「コマーシャル分析作文ノート」を作って毎日書くようになりました。

―最後に、本書を読んで「クラスを作文好きな子どもでいっぱいにしよう!」という読者の方にメッセージをお願いします。

 ぜひ1年間、本書に紹介している「全ての作文ネタ」を子ども達に試し続けてみてほしいのです。初めは「作文書くの嫌いなのに」と言っていた子ども達が、一人また一人と「先生、その作文のネタで書くことがいっぱいある!」と言ってきます。何十という作文ネタを仕掛けると、必ず子ども達の「書きたい、書いてみたい」という作文心にフィットするものが出てきます。その時、畳み掛けるように大仕掛け「徹底的に褒めることとおしいの一言」を繰り返すことで、作文大好きっ子に変わっていくのを30数年試し続けて実感しています。

(構成:茅野)
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