著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
子どもたちの「やる気」に火をつける!家庭科授業のアクティブ・ラーニング
帝京大学教育学部准教授勝田 映子
2016/4/13 掲載
 今回は勝田映子先生に、新刊『スペシャリスト直伝! 小学校家庭科授業成功の極意』について伺いました。

勝田 映子かつた えいこ

東京学芸大学卒業。お茶の水女子大学大学院人間文化創成科学研究科博士前期課程修了。
東京都内公立小学校に勤務。
平成16〜26年 筑波大学附属小学校家庭科専科。
平成20年 小学校学習指導要領解説家庭編作成協力者。
現在 帝京大学教育学部准教授。
主著に『子どものよさを活かす家庭科授業―出会う・かかわる・つくり出す―』(不昧堂出版)

―「はじめに」にもあるように、子どもたちは家庭科が大好きです。家庭科授業では、どんなことを重視し、何を学ばせればよいのでしょうか。

 授業で重視すべきことは「生活の中から課題を見つけ、問題解決を図り、学んだことを再び生活に生かす」ことです。特に導入は肝心です。当たり前になっている生活をハッと見直したくなる発問や活動を仕組むのが教師の腕です。家庭科で学ぶのは、こうした生活の問題解決力となる知識、技能、創意工夫性であり、家族の一員として家庭や地域生活を大切にし、身近な環境も含めまわりも自分の生活もより一層温かく幸せなものにしていくための主体的な実践力なのです。

―本書は、初めて家庭科を指導する先生方からベテランの先生方まで、幅広い先生方に読んでいただける内容になっています。初めて家庭科を指導する先生方に向け活用のポイントをひとつ教えてください。

 まずは家庭科指導の「基本中の基本」である安全指導や管理に関する内容をご活用いただきたいと思います。本書には事故防止だけでなく、万一の場合どう行動すべきか、保護者への連絡はいつどのように行ったらよいかなど、教師経験30数年で得た知見を詳しく記しました。第1章「安全指導」や第2章「学習準備・ガイダンス」をご参照ください。きっと自信を持って授業に臨めるようになると思います。

―同じく、ベテランの先生方に向け活用のポイントをひとつ教えてください。

 調理実習はしたけれど、「作って終わり」になってしまった経験はありませんか? 生活を見つめさせたいと思っていても、なかなか方策が浮かばなかったことはありませんか? 本書では、このような先生方の悩みに応える手立てや実践など多彩な授業アイデアを50例載せています。本書は、いつもの授業に新しい風を入れたい時、子ども主体の笑顔輝く授業を創りたい時、授業づくりのヒントとしてお役に立てる本です。

―本書では、アクティブ・ラーニングとしての家庭科授業の魅力にも言及されています。家庭科授業にアクティブ・ラーニングを取り入れるコツを教えてください。

 アクティブ・ラーニングで一番大切なのは、子どもが主体的に学ぶ質の高い活動を行うことです。それには、子どもがハッとして調べたり試したりしたくなる活動を仕組むことです。たとえば「リンゴを丸ごとむいたら、皮はどんな形になるかな?」と尋ねてみます。答えを知りたくて、子どもは何度も皮むきに挑戦します。そして、「どうだった?」と友達と交流を始めます。「皮むき練習5回!」などと命じなくても、クラスに皮むき名人が勢揃いします。子どもたちの「やる気」に火をつけるのが一番のコツなのです。

―最後に全国の読者の先生方へ向けアドバイスをお願いします。

 家庭科は今、子どもにとって「一番好きな教科」です(ベネッセ教育総合研究所調べ、2015年)。子どもたちの期待は熱いのです。これに応えて「生活っておもしろい!」「生活って奥が深い!」と子どもたちを夢中にさせませんか? それには、家庭科独特の学び方についての理解が不可欠です。授業を楽しくするアイデアも必要です。さらに安全を確保し、多様なニーズの子どもに対応できる準備もいります。社会の変化に伴って家庭生活が激変しています。家庭科も進化しています。学び直すなら今!です。ぜひ「新しい家庭科」の風を授業に採り入れてください。

(構成:木村)
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