- 著者インタビュー
- 幼児教育
これからスタートする人生をのびやかに生きていってほしい子どもたちへの何よりのプレゼントは、のびのびとした園生活ではないか、と私は考えます。
スケジュールや内容を細かすぎるほどに設定したり、子どもの行為を過剰なまでに指示する姿勢から抜け出していかねば……。
のびのびとした園の雰囲気は、まずは保育者同士が互いの持ち味を尊重しあい、お仕事をエンジョイすることに尽きると思います。
『シリーズ・保育園生活のデザイン』では、各巻のタイトルに沿って、保育のありようをより魅力的にしていくためのキーワードを盛り込んでいきました。
そして今回、戦後のスタートから70年ほどに及ぶ保育の時代を経て、これからも押さえていくべきこと、より強調すべきこと、新たに考えるべきことなどを、全12巻で示したキーワードを振り返りながら、より深く考え、新たな気持ちで提示することにしました。
まずは、園庭は自然の地形そのものが生かされています。土地の起伏、木立ち、草原、などなど。子どもたちは自然空間の中で、のびのびと動き回っています。
園舎は、教室スタイルではなく、日常生活空間としてのデザインが生かされています。
一斉保育的なニュアンスが薄く、グルーピングも異年齢混合が基本です。
保護者に対してはとてもオープンで、私は“子育てサロン”として紹介してきました。
幼児保育の園を経営している園長やスタッフのみなさん、それに私たちの勉強に関心をお持ちの方々による全国規模での勉強会です。
「ゼミナール」と称しているのは、講演中心の“研修”ではなく、互いに研鑽しあうという意味からです。テーマもユニークです。
毎年、各地でゼミナールを行い、加えて改良を重ねた園を見学するのも楽しみです。
ゼミナールを終えてのお別れの言葉は、いつも“See you again!”です。
新しい保育の時代になって70年。つまり、日本がヒューマニズムを基軸とする時代になってからと、歴史を共にしています。
思うのですが、人間が愛しあい、新しい生命に恵まれ、健やかに育っていく。そのための心身の頼もしい支えとなる力が、乳幼児保育の営みです。まさに、文化としての営為です。
明るい保育において欠かすことのできないポイント、それは園生活がのびやかであること。そのためには固い殻は取り払い、すてきなセンスは大いに吸収しましょう。本書がそのための一助となれば、何よりのことです。