著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
ボール運動ほど心を大きく動かせる授業はない!
大阪教育大学附属池田小学校垣内 幸太
2015/3/11 掲載
 今回は関西体育授業研究会事務局の垣内幸太先生に、新刊『すべての子どもが主役になれる!「ボール運動」絶対成功の指導BOOK』について伺いました。

垣内 幸太かきうち こうた

1974年、兵庫県生まれ。大阪教育大学教育学部卒業。
2009年、関西体育授業研究会設立。
「体育科の地位向上」を合言葉に、近隣の先生方とともに発足。授業力向上を目指し、月1回程度、定例会を開催。また、毎年7月に組体操研修会、11月に研究大会を開催。

―ボール運動の魅力とは、ズバリ何でしょうか?

 ボール運動(ゲーム)には、学ぶべき要素がいっぱい詰まっています。それは、ボールの扱い方や身のこなしといった技能面、空間認知や学び方といった思考面はもちろんですが、それだけでありません。仲間を信じてパスを出す、チームのために練習する、仲間と共に勝敗に一喜一憂する、互いに教え合い、助け合う……。大げさではなく、人が人の中で生きていく上での大切なことも学ばせてくれるのではないでしょうか。

―本書で紹介されているゲームは、すべての子どもに活躍する場面が生まれるよう、通常のゲームに一工夫をされておりますね。一工夫の秘訣を少しだけ教えてください。

 工夫と言えるか分かりませんが、次の2点を、ボール運動の授業をおこなう際に、まず考えます。
 「その教材の一番の喜びは?」
 「その教材での子どもたちの一番の願いは?」

 言い換えると「ボール運動の魅力」です。「そんなの人それぞれ」って思うかもしれません。そこで、このように考えるようにしています。
 「教師が何か説明する前に、子どもたちがこの運動(道具や場)にはじめて出会ったときに、自然とやり始めることはなんだろう」
 それぞれのボール運動の特徴、また「喜び」「願い」を考えることがゲームを考えるスタートラインであり、道標であると考えています。

―ボール運動は、ルールさえ教えれば後は子どもたちだけでもゲームができそうですが、試合中、教師はどこに注意を払っていればよいでしょうか?

 適当にゲームをさせておけば、教師の願う学びをすべての子どもたちに保証できるわけではありません。教材の特性を考慮し、子どもたちの事実をみつめ、子どもたちの小さな「できた」、小さな「わかった」、小さな「がんばり」を教師が見つけ、認めていくことが大切だと思っています。

―本書巻末には学習カードが収録されておりますね。学習カードの魅力や効果を教えて頂けますか。

 一番のよさは、子どもたちの主体的な学びを促進することができることです。
 技術を習得するためのコツや練習方法を載せることもいいでしょう。「あたま」を整理するために動きを図示することもいいでしょう。学習カードにより、子どもたちは学習を見通すことができます。
 また、授業にのぞむにあたって、自分の目標、チームの目標を記すことで、その1時間の授業へ向かう気持ちがつくられます
 そして、振り返りにも活用することができます。自分の学びの軌跡を確かめる、次への学習にむけて修正をおこないます。次時への期待を高めることにつながります。

―最後に、読者の先生方へ向け、ぜひメッセージをお願いします。

 本書で紹介している実践は、関西体育授業研究会のメンバーが、これまで積み重ねてきた実践の数々です。1年生から6年生までの6年間の系統性を鑑みながら、ゴール型、ネット型、ベースボール型に分けて紹介しています。また、すべての子どもたちを主役にするためのしかけや方策も各教材において掲載しています。
 本書が、そこに集うすべての子どもたちが授業における主役となり、授業の中できらきらと輝く姿を生み出すための一助となることを願っています。

(構成:木村)
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