著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
英語教師必読・日本の生徒に合った改訂型PPPとは?
奈良教育大学教授佐藤 臨太郎
2014/12/18 掲載

佐藤臨太郎さとう りんたろう

奈良教育大学教授。筑波大学大学院修士課程修了。博士(学校教育学)。北海道公立高等学校勤務を経て、現職。

―SLA理論に基づいたCLT,TBLT,FonFなどのコミュニカティブな英語授業が注目を集める中、本書ではその現状に疑問を投げかけています。先生はどのような問題があると思われますか。

 コミュニカティブな授業を否定しているわけではありません(笑)。むしろ、英語でコミュニケーションさせることは重要ですし、最終的には、コミュニケーション能力の育成が大きな目的であるとも言えます。ただ、そのためにはまず第一に、文法をきちんとしっかり理解し、充分練習していくことが、日本の中高生にとっては不可欠です。いきなり、意味の伝達に焦点を当てたコミュニカティブな活動というのは無理がありますし、そのような活動がメインでは、目標文法、語彙等の習得は、現在の日本での英語学習環境においては、あまり期待できないと言わざるを得ません。

―本書で紹介されている改訂型PPPと伝統的なPPPの違いを簡単に教えて下さい。

 伝統的なPPPにおいては機械的な練習のみに終始し、さらに本当に意味のあるコミュニケーション活動が行われない傾向があります。また、教師からの口頭での英語でのインプット量、英語でのやり取りが絶対的に足りません。改訂型PPPではこれらの改善を提案しております。詳しくは本書を読んでくださればと思います(笑)。

―本書は文法指導、語彙指導、学習指導の3章構成になっていますが、それぞれどのような視点での指導法が紹介されているのでしょうか?

 日本での英語学習においては、学習環境、生徒の動機づけ、日本語と英語の大きな言語差等の様々な要因により、海外における第2言語習得研究の知見がそのまま当てはまるわけではありません。私を含めた本書の3人の著者は、日本と海外(アメリカ、カナダ)で英語を学び研究し、教えた経験を活かし、それぞれの担当の章において、日本での英語学習・習得という観点で、指導法を紹介しています。

―効果的な語彙指導や学習者への動機づけに関するQAも取り上げられていますが、どのように活用してほしいと思いますか?

 多くの方が、日常疑問に思っていること、あるいは知りたいと思っていることに答えるかたちで、できるだけわかりやすく解説しました。自分の経験も参考にしながら、それぞれの方が自分流にアレンジして指導に活用していただければと思います。

―最後に全国の英語を教える中学・高校の先生へのメッセージをお願いします。

 生徒にしっかりとした英語力を習得させるためには、まずは教師ができるだけ高い英語力を身につけていることが重要かと思います。
 “Practice makes perfect.”を肝に銘じて、私もより精進していきたいと思います。最終的に生徒に高いコミュニケーション能力を身につけてもらうため、ともに頑張りましょう!

(構成:木山)
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