著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
生徒の「問い」が生きる授業を試みよう!
元常葉学園大学教育学部教授岡本 光司
2014/10/9 掲載

岡本 光司おかもと こうじ

知的障害児施設、東京教育大学附属中学校・高等学校等での勤務の後、静岡大学教授、静岡県総合教育センター教授、常葉学園大学教授を歴任。

―先生が「学びの始点は問うことにある」という信念を持つようになった経緯を教えてください。

 「問う」ことは「学び」に確かな目的を与え、「学び」の対象への切り口を焦点化し、「学び」への積極的な動機を生み出してくれるものであるという考えがあったからです。その背景には、「人間とは問う存在である」というドイツの教育学者O.F.ボルノーの人間観との出合いもありました。それは、生徒(人間)には、生来、「問う」ことへの渇望があり、それを「学び」の始点に置くことは生徒の人間性の発露として適っていると確信させてくれるものでした。

―書名にもある“生徒の「問い」”を軸として行う数学授業とは具体的にどういった授業なのでしょうか?

 「教師による数学的情報の提示や数学的活動等」⇒「生徒からの「問い」の表出とそれを基にした学習計画の作成」⇒「学習計画に沿った授業展開」⇒「学習内容にかかわる新たな「問い」の表出」といった流れを基本とする授業ですが、さらに、授業展開の中で出される生徒の「問い」も積極的に授業に組み入れ、生かしていこうとする授業です。

―生徒の「問い」を生かすために、教師はどのような授業を展開すべきなのでしょうか?

 大切なことは、問題解決的な授業を中核に据えつつ、「問われる生徒から問う生徒へ」、「教える教師から生徒と共に学ぶ教師へ」、「正解を求める授業から価値ある解決と創造の授業へ」といった「軸足の移動」を伴う授業展開を試みていくことです。その上で、学習計画作成の段階での「問い」や授業展開の中で出された「問い」が、実際にどう解決されたか、そこにどんな意味や価値があるのかを生徒に実感させることのできるような授業を行っていくことです。

―本書Chapter2の実践事例でも紹介されていますが、授業展開の構成で特に工夫された点を教えてください。

 まず、生徒から「問い」を出させるための「授業者の投げかけ」の工夫です。生徒の学習意欲を喚起するとともに、教材の本質に迫る「問い」が出るように努めたことです。解決された学習主題から派生的、発展的に出される「問い」を授業者の価値判断に基づいて新たな学習主題とし追究していったことにも特徴があります。「問いの連鎖」を大切にしました。
また、具体的な手立てとして、「問い」を口頭によってではなく疑問文の形で記述させ、それを全員で共有できるようにしたことです。

―最後に、中学校の数学の先生方に向けてのメッセージをお願いします!

 私はO.F.ボルノーの「自らが誠実に問うことができる者のみが、問うことへと教育することができるのです」という考えを大切にしています。生徒の「問い」を生かす授業を試みていただきたいがゆえに、先生方が日々の授業実践の振り返りは勿論のこと、「教えるとは何か、学ぶとは何か、授業とは何か、学力とは何か」といったことも問い続けていってもらえればと願っています。先生方一人ひとりが、自分なりの授業観、自分ならではの授業観を構築し、それを何度でも壊し、再構築していく勇気を持ち、努力していかれることを望んでやみません。

(構成:木山)
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