著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
英単語を楽しくテンポよく効果的に指導する50の技を一挙公開!
津山工業高等専門学校教授安木 真一
2014/5/2 掲載

安木 真一やすぎ しんいち

鳥取県生まれ。大阪外国語大学卒業。テンプル大学大学院修士課程修了。大阪、東京の東海大学付属中・高、鳥取県の公立高校勤務を経て、現在、津山工業高等専門学校教授。座右の銘は「悠々として急げ」。

―英語教師が避けて通れない「英単語の指導法」について、教師が押さえておくべき理論と授業で使える実践アイデアの両方を紹介している本書ですが、どのような趣旨で企画されたのでしょうか?

 単語と文法は外国語の4技能、つまり「聞く、話す、読む、書く」を根底から支える能力です。中でも単語の力は外国語の力に大きく関わっています。しかしコミュニケーション能力が問われる中で単語の指導が系統的になされているとは必ずしも言えません。例を挙げますと、中学1年の英語の教科書の中には、最初の段階で、小学校で音声だけで学習した単語(月の名前や曜日の名前等)が相当数出てきます。先生の中にはアルファベット導入後にこのような単語を書けるよう生徒に求める方もおられます。中学入学時の4月の段階では、まず曜日や月の音と意味を一致させる練習を行い、少しずつ、文字を導入してもよいと思います。月の名前は一月に一つずつ書けるようにしてもよいでしょう。
 以上は一例ですが、単語指導に関して考えるところがあり、そんなときにお誘いを受け、単語指導に関する自分の思いを書く機会をいただきました。自分が実施してきたことを書いていますが、それを支える理論についても述べています。先生方が実践される際にその実践の背景と効果について認識していただきたいと思ったからです。

 更に私が生徒から何度も尋ねられた「先生単語はどうやって覚えるのですか?」に答えるために「こうすれば覚える!生徒に教える英単語暗記法」のパートも設けました。先生方が同様の質問をされたときに参考にしていただけると幸いです。

―学習指導要領の改訂で中・高校生が習得すべき語彙数は計3000語に増加しています。英語が苦手な生徒も増加しないようにするためには、どのように指導すべきだと先生はお考えになりますか?

 中学・高校と学年が進むにつれて単語の練習を授業中に行う時間が減少します。が、常に授業の中で、たとえ短時間でも単語の練習をすることは大切です。その際はリスニングから入り、音声と意味を一致させる練習を行った後、文字を導入するとよいでしょう。また授業中に習得すべき単語を何度も繰り返し使用し、生徒にも繰り返す機会を与えます。特に、英語が苦手な生徒には「この課のこの単語だけはマスターさせる」と決め、何度も練習した後、単元テストや定期テストにも単語問題を出題します。

―英単語の学習は、授業での学習だけではなく、生徒各自が家庭学習を行うことも必要ですが、家庭学習のコツを教えてください。

 家庭学習のコツは授業で学習した単語を練習することです。方法は、教科書を音読しながら写してみる、教科書の本文をコピーしたプリントの裏に本文を写してみる、覚えられない単語の単語カードを作ってみる、学習し単語を使って例文を作成するなどいくらでもあります。本書にある方法を生徒に勧めてみてください。

―高校に続き、中学校も「英語は英語で授業する」という方針が打ち出されています。今後、英語教師はどのようなことに注意を払えばいいでしょうか?

 私が思うのは「授業の目標を明確にした全体の流れの中で行われる活動の意味をまずは考え、『英語は英語で授業する』はその後のことである」ということです。個々の授業には生徒が到達すべき目標があり、目標を到達するための活動には意味があります。「英語は英語で授業する」というのは到達目標ではありません。先生のティーチャートークも生徒の活動も目的を明確にした上で行います。
 もう一つは、教師が授業で使う教科書を何度も音読することです。教科書を覚えていると授業を行う際に必要な英語が出てくるので、授業がスムーズに行えます。

―最後に、全国で英語授業に取り組む先生方へのメッセージをお願いします!

 この本のアイデアのヒントは先生方からいただいたものもたくさんあり、感謝しております。この場を借りて御礼申し上げます。またこの本の中で、「この方法はよかった」「ここは改善すべきだ」など考えられたことがございましたら、お知らせいただければありがたいです。英語が苦手な生徒の単語力アップのためにアイデアを交換して広げていきましょう。

(構成:木山)
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