著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
悩みやつまずきを解消!「考える」国語授業づくりの第一歩
筑波大学附属小学校白石 範孝
2014/4/15 掲載
 今回は白石範孝先生に、新刊『白石範孝の国語授業 おさえておきたい指導の要点&技術50』について伺いました。

白石 範孝しらいし のりたか

1955年鹿児島市に生まれる。東京都内の小学校教諭を経て,現在,筑波大学附属小学校教諭。明星大学教育学部講師。使える授業ベーシック研究会会長,国語授業ICT研究会会長,全国授業研究会理事。
著書に、白石範孝の考える国語授業シリーズ『論理的に読む国語授業づくり 低学年』『論理的に読む国語授業づくり 中学年』『論理的に読む国語授業づくり 高学年』(編著、明治図書)、『国語授業を変える「漢字指導」』『3段階で読む新しい国語授業(1)〜(3)』(文溪堂)など多数。

―先生が国語の授業で大切にされていることとはなんでしょうか?

 国語の授業で大切にしていることは、次の3点です。

・「用語」を習得し活用できる力を育成すること。
・「方法」を習得し活用できる力を育成すること。
・「原理・原則」を習得し活用できる力を育成すること。

 これらの力を糧として、子どもたちが文章や作品を論理的に「考える」ことができるようにし、曖昧な答えを出すのではなく明確な答えの出る授業を目指しています。

―本書では、よくある50の場面でのつまずきとそれに対するワザを解説くださっていますね。国語の授業がマンネリ化してしまう…ということにお悩みの先生におススメのワザを教えてください。

 国語の授業スタイルは、物語の授業で場面分けから入り、1の場面から順番に読んでいく…、説明文の読みでも一段落から順を追って読んでいく…というように同じことのくり返しになっています。これがマンネリ化の大きな原因です。
 この問題を解決していくために、作品や文章を丸ごととらえることから入っていきます。文章全体のつながりや構成を読むことによって、文章の内容を概観できるようにするのです。場面ごとの、段落ごとのつながりを考えた文章の読みをしていくことが大切であると考えています。

―ベテランの先生にもおススメの授業がひと味変わるワザはありますか?

 国語の学習では、活動が中心になり、何を学習したのか・どんな力がついたのか、分からなくなってしまっています。子どもたちの論理的に思考する力を育成するということは分かっていても、何をどのように指導していくことが良いのか分からないのが現状です。
 子どもたちが論理的に思考するためには、子ども自身が問いを持つことが大切です。この問いを持たせるために、題名を問いの形に直してみたください。そうすることで何をどのように読んでいけばいいのかが分かります。また、この問いに対する答えを明確にすることも可能です。
 題名をそっくりそのまま使って、問いの文を作ることで読みの方向を明確にします。

―新年度なので、今年は日記指導を頑張ろう!と思っている読者の先生も多いかと思います。白石学級での日記指導の秘訣が本書でも紹介されていますが、成功の秘密をちょっとだけ教えていただけますか?

 日記指導で大切なことは、「子どもたちも楽!教師も楽!」という考え方を持つことです。毎日、全員に日記を書かせて、それを子どもたちが帰るまでに読んで返すということは、とても無理があります。
 そこで、月曜日から金曜日までの5グループに分けて、その日を日記の提出日にします。ですから、子どもたちは、一週間に一回だけ提出すればいいのです。また、毎日書くのではなく、一週間に一つの題材を書くようにします。
 このようにすることで、子どもたちも一つの題材についてしっかりと書き、教師も一人一人の日記をじっくりと読むことができるのです。
 お互いに無理をしないことが日記を長続きさせることの秘訣です。

―最後に、読者の先生方に向けてメッセージをお願いいたします。

 子どもを前に日々授業をしていますと、いろいろと悩むことが多いです。「板書はこれでいいのか?」「日々の宿題は、どうすればいいのか?」「子どもたちが授業を楽しんでいない…」等、本当にたくさんの悩みが出てきます。
 悩みが出てくるということは、授業について、子どもたちについて、真剣に考えているということです。真剣に考えているから悩みが出てくるのです。
 私も日々、悩みながら授業や学級経営を行っています。今回は、その悩みのいくつかを取り出して考えてみました。本書で紹介いたしましたアイディアは、私のクラスで行っていることがほとんどです。ですから、一般化されたものではありません。
 ぜひ、読者の皆様とアイディアを交流し合えれば…と思っております。

(構成:林)

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