著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
音楽は、障害のある子の心とからだを動かす力を持っている!
上越教育大学大学院教授齋藤 一雄
2014/3/26 掲載
 今回は齋藤一雄先生に、新刊『思わずからだが動き出す!障害のある子のリズム表現エクササイズ』について伺いました。

齋藤 一雄さいとう かずお

上越教育大学学校教育専攻科臨床・健康教育学系教授。上越教育大学特別支援教育実践研究センター長。
1951年生まれ。埼玉大学教育学部卒業。上越教育大学学校教育研究科修了。博士(学校教育学)。現在、上越教育大学大学院特別支援教育コースで「障害児教育学論」「知的障害教育課程・指導法」などを担当している。

―障害のある子どもたちにとって、音楽はどんなところに魅力を感じるのでしょうか。

 まず、音楽は子どもたちの情動に訴え、楽しい、悲しい、うれしいを感じやすいという魅力があります。次に、音楽が流れると思わずからだが動き出すという魅力があります。さらに、音楽は自分を表現しやすい手段となるという魅力があります。

―うまく体が動かせない子どもに、リズム活動を指導するときのコツがありましたら、ぜひ教えてください。

 これなら気持ちよく動かせる、という動作を見つけてください。そして、笑顔で一緒にやってみて、それでいいんだよと認めてあげてください。さらに、その子の動きに合わせて音楽を鳴らしてあげてください。

―本書には38のリズム活動が収録されていますが、曲選びのアドバイスをお願いします。

 子どもたちの実態を細やかにつかみ、どんな音楽活動が好きなのか、どんな音が嫌いなのか、どんな活動が課題となるのか吟味してください。そうしますと、どの段階のリズム表現活動が必要なのか見えてきます。本書でも、曲毎に、どんな子どもにどんな効果があるのかを記しました。

―リズム活動を取り入れることで、子どもたちがこんなに変わった!というエピソードがありましたら、ぜひご紹介して頂けますでしょうか。

 いつも下を向いてばかりの子がいました。視覚的な教材にも目を向けてくれませんでした。ところが、本書にも収録した「ほっぺにツン」「それ拍手!パン」などの活動をつかって、音と動作の両方で働きかけましたら、笑顔になり、両手が動き出しました。

―最後に、読者の先生方へ向け、ぜひメッセージをお願いします。

 まず、先生方自身が楽しく笑顔で子どもたちに接しましょう。そして、子どもたちに「それでいいんだよ」とうなずいてあげましょう。それから、複数の曲をいくつか取り上げて、何回もやってみましょう。継続は力なりです。

(構成:木村)
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