著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
豆腐のような学級通信で、豆腐のようなクラスづくりを!
鳥取県米子市立福米東小学校教諭西村 健吾
2014/2/19 掲載

西村 健吾にしむら けんご

1973年鳥取県生まれ。東京学芸大学教育学部卒業後、鳥取県の公立小学校で勤務。現在、鳥取県米子市立福米東小学校教諭。「GAINA教育フォーラム〜米子祭〜」代表。教育サークル「豆腐のような教師になろう!」代表。教育サイト「学びの場.com『教育つれづれ日誌』」(内田洋行)、教育雑誌各誌で、教育エッセイやコラムを多数執筆。共著本に『スペシャリスト直伝! <失敗談から学ぶ>学級づくり・授業づくり成功の極意』などがある。

―書籍の表紙帯に「豆腐のような学級通信をつくろう!」とあります。豆腐のように@マメでA四角く(鋭く)BやわらかくC面白くをモットーに「豆腐屋教師」とも呼ばれ活躍されていますが、先生の「豆腐の教育哲学」について、教えて下さい。

 時々、教育セミナーでお会いした全国の先生に、「西村先生のご実家は豆腐屋ですか?」と聞かれるんですが(笑)、決してそうではありません。
 僕は、理想の教師像として、
 @細やかさ・緻密さ・綿密さ(→マメさ)、
 A子どもを鍛えて伸ばす教師の指導性・父性的態度(→四角さ)、
 B子どもを受け入れる受容性・母性的態度(→やわらかさ)、
 C知的好奇心を喚起する面白さ・楽しさを感得できるような教師の指導性(→面白さ)
…をバランス良く身にまとう必要性を感じています。
 この4つの要素が、いわゆる「豆腐」の特徴と合致するんです。そして、目指す子ども像、理想とする学級通信など、全ての教育活動が、この「豆腐の教育哲学」に集約されると言っても過言ではありません。
 本書で詳述しておりますので、是非ご覧いただければと思います。

―本書は、「学級通信」をテーマに、クラスづくりの核になる学級通信づくりのポイント・極意についてまとめられています。学級通信については、「作る時間が〜」という声や、作らない方針」の先生がいらっしゃる反面、学級づくりにとてもうまく取り入れている先生もいらっしゃいます。学級通信を続け、学級づくりの強力な助け(ツール)として機能させていくポイントは何でしょうか?

 最も肝心なことは、学級通信作成や発行そのものが目的化してしまわないことだと思います。「クラスづくりの核になる」という本書のタイトルにもあるように、よりよい学級経営を実現するための一つのツールとして学級通信を活用し、家庭の信頼や協力を得ながら子ども達を伸ばしていくという意識が肝要かと思います。その目的さえ見失わなければ、おのずと、号数や記事の在り様も変わってくるのではないでしょうか。
 ただ、これでは初めて学級通信を書く先生や、若い先生方には分かりにくいですね…(笑)。一応本書においても、多くの学級通信事例を掲載していますので、ネタやコツ等については、そこから感じ取っていただければと思います。

―「学級通信で仕掛ける! 学級づくり12か月」と章名にもなっている通り、本書は単なる学級通信を紹介する書籍ではなく、魅力的な学級をつくる1年間の様子が、月ごとの学級通信とともに、紹介されています。先生が学級づくりで大切にされていることは何でしょうか?そのポイントについて教えて下さい。

 一言で言えば、「1年間の学級づくりの見通しをもった上での、時機を捉えた仕掛け」といったところでしょうか。つまり、年間の学級経営の中で、どこで(どうやって)教師が子どもや保護者とつながり、どこで子ども同士をつなげ、どこでより積極的に子ども達を鍛え育てるのか…といった仕掛けを大切にしているということです。
 本書においても、学級通信というスコープを通してではありますが、その一端を感じていただけるのではないかと思っています。また、そうした意味において、普段学級通信を出されない先生方にも、手に取って読んでいただくに耐え得る一冊になったのではないかと自負しているところです。

―本書に豊富に掲載されている「学級通信」は、「教室日記」「事務連絡」の枠にとらわれない魅力あふれたものばかりですが、その題材選びや、作り方のポイントについて、教えて下さい。

 学級通信関連の多くの類書や先行実践等を参考にしているのはもちろんですが、学級通信実践でなくとも、全国の素晴らしい先生方の実践を通信記事に変換して落とし込んだりもしています。
 例えば、本書の中には、北九州の菊池省三先生の「ほめ言葉のシャワー」を、構造化(可視化)して学級通信記事にしたものがあります。このように、常にアンテナを張ったり、アイデアを模索したりしている内に、結果としてバリエーション豊富な学級通信群になったと言えます。

―最後に、読者の先生方へメッセージをお願い致します。

 スペシャリストでも何でもない僕が、このような本を上梓すること自体、誠に僭越ではあるのですが、温かい保護者の皆様、力ある素敵な同僚の先生方、そして何より…、素晴らしい子ども達と紡いできた教室の情景を映し出した本になっていることだけは確かです。そういった意味において、学級通信の実践を紹介する本…というよりも、僕の拙い学級経営をLIVE感覚で感じていただく本…といった趣になっていると思います。
 学級通信の在り様を含め、本書が、志ある全国の先生方のお役に少しでも立ち、日本全国の多くの子ども達の笑顔に寄与することができるならば、それは望外の喜びです。

(構成:及川)

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