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先生方は、小テストから定期テスト、実技テストや休み明けテスト、さらに実力テストまでを合わせると、年間にかなりの数のテストを実施されています。多い方ではその数は、年間100回を超えるほどです。また、生徒の力を「伸ばす」「診断する」「評価する」など、テストによって目的が異なります。こう考えると、テストはただ単に実施するだけでなく、目的を意識して前後の取り組みを工夫することで、生徒がぐんぐん力をつけるものになります。
本書では、そうしたテスト前後にやっておきたい効果的な工夫や、実際にどのようなテストを作ればいいのか、その具体例を詳細にまとめました。テストのたびに開いていただくことで、先生方に何か具体的なヒントを提供して先生方のお役に立てるかと思います。
テストは先生や生徒だけでなく、保護者や塾などの関心も高いものですが、大学時代に専門的に作り方を学ばれた先生方は少ない上、毎回作っていれば、よりよい作り方が自然に身につくというものでもありません。
幸いなことに、テストや評価に関する優れた書籍が多く存在します。ただ、少し理論的だったり分量が多かったりと躊躇される方も少なくありませんでした(私もそうでした)。
そこで本書では、忙しい先生方が短時間で読んでも学び多く、かつ具体的に役立つポイントを意識して、「テストづくりの5原則」と「その5原則をテストに具体的に活かすリスト」をまとめました。簡潔で役立つものになったのでは、と思います。
これまでテストでは、「総合問題」形式や「観点別テスト」と呼ばれるテストが主流でしたが、これからは、本書でご紹介する「最新型テスト」への理解も必要となってくるでしょう。というのは、2012年実施の中学校学習指導要領では、「4技能の総合的、統合的な指導」や「言語活動の充実」が強調されています。その指導へのテストの在り方について提案したものが本書の「最新型テスト」(p.88〜89参照)です。
例えば、「技能の統合」とは、「技能と技能を(有機的に)関連付けて指導する(リンク)こと」で、これは例えば、「聞いたことについて書く」「読んだことについて話す」などのように、複数の技能を組み合わせて運用する力を育てることです。ではそのような指導をした場合、いったいどのようなテストをすればよいのでしょうか。本書では、5パターンに分けて具体例とともに詳述しています。
本書の特徴は、「テストの効果的な作り方(理論やポイント)」について学べるだけでなく、「テストの波及効果を活かしたテスト前後の効果的な指導」や、「定期テスト、小テストや実技テストなどの効果的なアイデア」が学べることです。
その中のPart5には、「テスト作成アイデア・アラカルト」があります。これは、テスト問題づくりやテスト前後の仕事術について便利な資料とともに紹介したものです。
例えば、「パソコンを使ったリスニング問題の作り方」や「4択問題の作り方」「長文問題の作り方」などのテストの作成アイデアから、「試験監督マニュアル」や「素早い採点の仕方」「効果的な返却の仕方」など、現場の先生方のお役に立てる情報が満載です。
本書では、テストは「生徒の力を測って成績を付ける」ために行うという考え方だけではなく、テストの「波及効果を活かして生徒の力を伸ばす」という考え方に重点を置いた指導について提案しています。また、今後ベテランの先生方が一斉に退職され、若い先生方が一気に増える時代を見据えて、若手からベテランにまで役立つように、テストづくりの基本と知っておくと役立つテストのポイントを具体的にコンパクトにまとめました。
テストは、生徒のやる気をアップさせ、学習時間の向上、学習内容や学習方法の定着につながるものなのです。全国の先生方と一緒に、テストを効果的に活用することで、「英語好き」な生徒を一人でも増やす取り組みを進めたいと思います。本書が先生方の身近に存在し、必要なときに大いに貢献できる1冊になれたら幸いです。